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運命  作者: 尚文産商堂
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第1話 部活仲間

俺は、単なる高1。

女の子とあわよくば付き合いたいと考えているだけの高校1年生だ。

偶然にも、同じ教室に器量良し、性格良し、胸は誰よりも大きいという人がいた。

さらには、同じ部活にも入っていた。

俺は、之幸いと考え、告白する機会をうかがうことにした。


1ヶ月が経ったとき、その機会は訪れた。

小説同好会という部活に入ったのは、おれ自身が小説好きだったからだ。

書くのも好きだし、もちろん、読むのも好きだ。

小説のジャンルは問わず、パソコンで書くというものだった。


気づいたら経った二人だけになっていた部室で、彼女が突然俺に話しかけてきた。

「ねえ」

「なんだよ」

俺はちょうど小説が載っていたときだったから、すこしムッとしながら返事をした。

「ちょっと読んでくれない?なんか変な感じがして…」

「ちょっと待ってろ。ここが書き終わってから…」

俺はそのとき書いていた小説を保存してから、彼女のところへ歩いた。

「この部分なんだけど…」

彼女は俺にそのあたりの感覚を説明した。

俺は一通り目を通した。

恋愛物だった。

互いに片思いと思っている二人が、修学旅行先のスキー場で恋を育む物…

似たようなものを呼んだ記憶があるが…気のせいだな。

「別に変な感じはないな」

俺は振り返って言った。

「う〜ん…じゃあ、そうなんだろうね」

彼女は悩みながら言った。

「じゃあ、俺は続き書いてるからな。それと、下校時間は守れって」

俺は腕時計を見た。

まだ、4時30分。

下校時刻は5時だったから、30分は出来る計算になる。

俺は、自分の席に戻ろうとして歩き出したとき、運悪く上履きがコードに引っかかり、こけそうになった。

あわてて何かをつかんだ。

それは、彼女の胸だった。

「ちょっと、どこ触ってるのよ!」

俺は殴られると考え、頭を手で守りながらしゃがんだ。

「ごめっ、わざとじゃないんだ!」

だが、それ以上の追求はなかった。

俺が再び顔を上げると、彼女は赤くなりながら言った。

「…もういいわよ。席に戻っても」

俺は助かったと正直思った。

そのまますごすごと退散した。


30分が経ったとき、チャイムが鳴り、俺は背伸びをした。

やけに鳴る。

背骨が、まるで折れたようだ。

「ったく。何でこんなに鳴るんだよ」

俺は彼女のほうを見た。

パソコンを切りながら、何か考えているようだった。

俺は窓の外を見ると、かなり暗かった。

「うわっ。かなり暗いな」

このあたりは、該当すらなく、2人一組で帰ることが基本だった。

…ちょっとまて、2人一組ということは、俺は彼女と一緒に帰るって言うことか?

そういうことになる。

俺は彼女にそのことを聞こうと思ったら、先に彼女に聞かれた。

「あのさ」

俺はびくっとなる。

「どうした」

「これから帰るんだったら、一緒に帰ってくれない…かな?」

すこし上目遣いに言った。

身長さはあまりない。

「別にかまわないが」

俺はそっけなく返事をした。

彼女は喜んでいた。

「ほんとっ!じゃあ、先玄関行ってて。この部屋のかぎ返してくるから」

そういって、彼女は俺を半ば追い出すようにして、ついでにかばんを持たせて玄関へ行くように言った。


俺は、靴を履き替え、玄関で待つ。

「あちゃー…コリャ暗いわな」

俺が見たのは、豪雨だった。

「懐中電灯…でも、傘忘れたな…どしよ…」

そんな時、彼女が来た。

後ろから、傘で俺を小突いてから、俺のすぐ横に出てきた。

「忘れたんでしょ」

俺は何も言えない。

「私の傘に入ったら?多少はぬれないでしょ」

「すまんな」

懐中電灯は、俺がもっていたものを使うことにして、俺は傘に入った。


あたりは暗く、俺達だけしか歩いていなかった。

雨音と足音だけが、聴覚を支配する。

互いの足音…

俺は、なぜか胸が高鳴っていた。

会話は、無い。

友人と思えば話せるのかもしれない。

同性同士だったら、ぎゃあぎゃあ騒いで変えることもあるだろう。

でも、俺たちは男女だ。

異性としてどうしても意識してしまう。

「ねえ…」

突然話しかけてくる彼女に、俺はドキッとしていた。

「なんだよ」

「なんとなく…静かだったから…」

ただそれだけだった。

再び静まりかえる。


バス停がすぐそこにまで来たとき、突然彼女は俺に言った。

「ねえ、好きな人とかいるの?」

「ハァ?唐突だな」

俺は考えることなく言った。

「今はいないけど…どうしてだよ」

「ちょっと気になっただけ。いないんだったら、それでいいの」

彼女は、バス停の屋根の下に入ると、傘をたたんで水を切った。

それから、傘をたたみながら聞いた。

「ねえ、私が、あなたのことがスキだって言ったら…どうする?」

俺は考えた。

唐突の告白。

どう反応していいか分からなかった。

だが、俺は行動した。

「そうだな…」

俺は振り返った彼女に、キスをした。


唇が離れると、俺は抱きしめてから耳打ちした。

「別に、かまわない。付き合っても」

わずかな明かりでも、彼女が恥ずかしがっているのが分かった。

「ありがとう…」

泣きながらも、彼女は一言、俺に言った。

俺も、急に恥ずかしさを感じた。

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