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story;6

 

 ※※※




 ニコロフは感じていた。

 この会場の異様さに。


「ロゼ、アリシア。悪いが俺からあまり離れないでもらえるか?」

「ニコロフ?・・・そんな、ここは皇国ホテルの最上階よ?そんなことがあり得るの?」

「・・・わからない。が、一つ言えるのは明らかに防衛網にいくつかの穴がある」

「六道家の一つ、地道家の包囲網に?あやしいわね」

「それに守護六角の手のものが少ない・・・どういうことだ?」

「それは簡単なこと。必要ないからです、Mr.ニコロフ」


 ニコロフは気配もなくあらわれた、女性驚き、家族をかばう姿勢で彼女と向き合う。


「っ!?・・・Mrs.地道。それはどういうことですか?」

「わかっているでしょ?…あれさえいれば、というの誇張しすぎかもしれませんが。あなたも見たあれさえいれば、この場は世界で一番安全な場所になる」

「・・・なるほど。それは、少し前までなら事実でしたでしょうな。あなたたちの、『モノ』であった、彼なら」

「どういう意味でしょうか?」

「なに、この会場についた時からの違和感。・・・その理由に気づいただけですよ」

「では、あなたは帰りますか?」

「・・・」


 ニコロフは楽しそうに食事をするアリシア、私の後ろで戸惑いながら話を聞いているロゼを見る。


「・・・私は、彼の手伝いをしますよ?」

「かまわないですよ?・・・それも想定済みなので」

「っ!?・・・それは、結構なことで」

「それでは失礼します・・・そうそう、娘さんの安全は保障しますよ」


 ニコロフは去っていく女性の後姿を見ながら冷や汗を一筋流す。


「ニコロフ・・・?」

「大丈夫。・・・だが、最後の一言が気になるな」


 その瞬間、―――ポンとなり会場のエレベーターが開く。


「わあ、すごいきれいだね、レンジ君!」

「あ、ああ。カズサ、ここはパーティーに会場だ。もう少しおしとやかにな?」

「あ、カズサちゃん!」


 娘のアリシアが走ってゆく。

 その先には、日本最大のブライタル企業『Thousand’s L』の社長夫妻にその娘。

 そして・・・。


「・・・アキラ」

「え?・・・ユリ!ヒマワリ!」

「え?あ、ロゼさん。お久しぶりです」「あら、ロゼさん。こんばんは~」


 ロゼがエレベーターへと近づき、見知った二人と話している。

 Mr.千恋は困った顔をしながら、ウェイターからジュースをもらって子供たちのもとへ。


 そして、残る一人は・・・。


「ニコロフ、ひさしぶり・・・。というほどの仲だったかな?」

「ふっ、お前も所帯を持てば丸くなるものだな。今のお前ならライバルではなく友達でいいぜ」

「・・・そんなに丸くなったか?」

「まあ、俺が最後にお前と正面切って戦ったのは7年前のあの時が最後だからな」

「そうか、あれはもうそんな前になるのか・・・」

「・・・なあ」

「どうした?」

「・・・いや、なんでもない。さっきMrs.地道にあったが不吉なことを言っていた。気をつけろよ」

「ッ!?・・・そうか、わかった。ありがとう」


 ニコルフからの注意を受けたアキラはゆりとレンジをちらりと確認して、ニコルフに挨拶をする。


「フッ…やっぱり、お前は変わったな」

「・・・?そうか?」

「俺はほかの知り合いにあいさつに行ってくる。ロゼは・・・お前の嫁さんと楽しそうだから、一人で行くか」

「すまないな」

「いや、ロゼが一方的に絡んでいるだけだからな。謝るならこっちのほうだ」


 そういってニコルフはアキラから離れていった。




 ※※※




「え、ゆりさんって。あの『silver・Lilly』だったんですか!?」

「むかしの話よ?・・・今はただの主婦♪」

 そういって、ゆりはニコルフと話すアキラを見つめてほほを染めた。

「あら・・・」

「まったく、ゆりったら。いまだにそんな乙女な顔して。とても既婚者それも子持ちに見えないわ」


 その言葉に一部の男たちからため息が聞こえた。

 一部から集まっていた視線が減り、3人はため息を吐いた。


「すごい視線だったわね」

「美人のお二人がいれば、当たり前ですよ~」

「ひまわりさんほど私はかわいくないですよ。多分、この服だと思いますよ?久しぶりに気合入れたので一部は気づいたのではないしょうか?」

「・・・それはどうかしらね?」

「「え?」」

「どうやら今日の客は・・・ちょっと特殊みたいでね」

「と、いいますと?」

「・・・ナイショ♪」

「それはなしですよ・・・」「ひどいです、ロゼさん(ぷく~)」

「フフ、かわいいわね、二人とも」


 ロゼは起こる二人に笑ってごまかすのであった。













 ―――カチャン!

 ―――バリバリバリバリーン!



 突如として電気が消え、窓が割れる。



 ―――ポンっ



 ついたエレベーターが開くと中から黒い覆面集団が降りてくる。

 よく見ると暗視ゴーグルをつけて、手元に銃を持っていた。


「くそ、目が慣れてなくてよく見えない」

「地道どうなっている!?」

「あいつらはなんだ!?」


 客はざわめき、こんらんしている。

 素早く動き出したのは地道家の用意した警備員。

 しかしその動きを見ると少しおかしく、警護対象を選んでいるようにも見える。


 ―――パシュン

 ―――パシュン

 ―――パシュン

「ぐぁ!」

「きゃあ!」

「ああ!」


 サイレンサー付きの拳銃による銃声と射殺された人たちの声が聞こえる。


「ゆり、ひまわり、しゃがんで・・・ニコロフ・・・」

「ロゼ、ありがとう。あなたも落ち着きなさい」

「・・・あらあら」


 ゆり、ひまわり、ロゼの三人は襲撃と同時にロゼの誘導で机の下に隠れていた。

 銃声が鳴り響く中、一人の足音がテーブルへ近づいてくる。

 そいつがテーブルクロスに手を掛けたと思うとその手が吹きとんだ。

 外では鈍い音とともに男のうめき声が聞こえる。

 その声につられて近づく足音が増える。


「レクイエムだと!?何をやっている!包囲し、ッ!」


 客の一人が誰かを指してそう叫ぶと近づく足音が一瞬足踏みをする音が聞こえた。

 その瞬間に、テーブルに最も近い2人がかけていき、人が壁や床に吹き飛ぶ鈍い音が聞こえてくる。


 ―――バチンッ


 外が明るくなったのが、テーブルの下に隠れていた3人にもわかる。


「アキラさん、ニコロフ君。ひまわりを見ませんでしたか?見当たらなくて」

「一茶さん、落ち着いて」

「ああ、このテーブルの下を見てごらんなさい」

「え?」


 外でそんな声が聞こえ、テーブルに敷かれていたテーブルクロスが持ち上げられる。

 持ち上げられてできた隙間から見えたのはひまわりの旦那さんである一茶。


「あらあら、一茶さん。だいじょうぶでしたか?」

「ひまわり~。よかった、姿が見えなくて心配したんだ」

「おさまったようだし、出ましょうか?」

「そうね、ひまわり。外に出ましょう」

「そうですね。一茶さん、少しそのままにしててください」


 一茶とひまわりのやり取りを見ていた二人は、顔を見合わせて外で待っているであろう旦那のもとへと急ぐ。

 外に出ると、二人は多くの女性に囲まれていた。

 二人は困惑しながらも、「怪我がなくてよかった」などとキョロキョロと何かを探しながら言葉をかける。

 そんな二人の後姿に奥さん二人は少し嫉妬を覚える。


「アキラ、さん・・・?」

「ニ・コ・ロ・フ?」

「ゆ、ゆり・・・」

「ロゼ、待て。一旦、落ち着け」


 二人は振り返り、蒼白な顔になる。


「・・・ゆり、レンジは?一緒じゃなかったのか!?」

「アリシアもいない。一茶君のところの娘は!?」

「さっきから探し回っているが、見えない。それどころか、何人かの子供たちの姿が見えないらしい!」

「くそっ!」


 アキラは珍しく怒りのままに拳を振り下ろそうとして腕をつかまれた。


「・・・リミッターが外れかけている。少し落ち着いてください、兄さん」

「だれが!にい・・・さんだ・・・」


 アキラは腕をつかんできた人物を見て行き場のなかった伊怒りをぶつけようとする。


「お久しぶりです。すみませんが、今の状況を説明いただけませんか?」


 アキラの上でをつかんだ男はそういった。



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