第2話
次の瞬間、僕は部屋のベッドの上にいた。一瞬、気を失った感じがする。パジャマを着て、寝起きの感じ。でも頭は非常に冴えている。一体これは・・・?わけもわからず、僕は呆然としていた。記憶喪失にでもなったかのようだ。一体何が起きたんだ?これは、なんなんだ?なんで急に・・・?頭が混乱する。とりあえずベッドから起きてみた。確かに自分の部屋だ。カーテンを開ける。太陽が真っ正面から照りつける。これは・・・、朝か?僕の部屋のこの窓は東に位置していて、朝方には太陽がこんな風に僕の部屋を照らし出すのだ。じゃあ、今は、朝だということか?なんで?さっきまでは夜だったはずなのに・・・。
そばのテーブルを見る。先ほどの時計が置かれていた。時刻は20XX
年5月23日、7時23分24秒、25秒、・・・。さっき僕が合わせた時間。ん?amになってるな。午前と午後を間違えたか。いや、そんなことどうでもよくって、・・・ということは、これはつまり、・・・タイムスリップをしたと、いうことなのか?僕が?この時計で?まさか、そんなことが、あるわけがない・・・。でも・・・。
僕はテレビをつけてみた。いつも朝、家を出る前に見ている、今年始まった情報番組が流れている。今朝見た記憶がある。全く同じ場面を。チャンネルを変えると、やはり今朝と同じ番組、今朝見たニュース。
これはいよいよ本物のようだ。僕は今日の夜7時から朝の7時にタイムスリップしてきたんだ。この時計によって。僕は時計を持ち上げた。何事もなかったかのように、時を刻んでいる。秒数がゼロになり、また1分が経った。
・・・ちょっとまて、元の時間に戻るには、どうするんだ?まさかこのままというわけでは・・・。僕はそんな機能の類のスイッチがないか探した。すると時計の裏側に、それはあった。
"NOW"と書かれた大きめのスイッチ。”今”だ。これかな?恐る恐る、押してみる。
ポチ。
次の瞬間には、僕はさっきまでと同じ、夜の自室にいた。テレビをつけると、確かに見たかった番組が流れている。ホッとした。そして僕は、テーブルの上に置かれたそれを見た。今の時刻を示し、正確に時を刻んでいる。タイムスリップできる時計。これがあれば・・・。僕は再び、それを手に取った。
つづく