第二十二話
色々忙しくて更新滞っていてすいません。
短めですが更新しておきます。
「殺人事件?」
デートという名のお出かけの翌日。
自室で今日も今日とてダラダラとインターネットの海に潜っていた私は、ふと目に止まったその文字を思わず呟いた。
あ、ちなみに補足させてもらうと何か調べ物があって勤勉にインターネットを覗いていたわけではない。
本当にただただ意味も無くまとめサイトを巡回したり某笑顔動画を垂れ流しにしていただけだ。
そうしたら、たまたま某検索エンジンのトップページにあるニュース速報に、そんな記事が流れてきたから目に止まっただけ。
『ベルの町にてNPC殺人事件発生。犯人は逃亡中』。
という特筆すべきところが無い見出し文句に私が反応してしまった理由はただ一つ。
この世界で犯罪を犯すプレイヤーは非常に少ないからだ。
いないとは言わない。
でも、少ないのは確かだろう。
その理由は一つ、警察が滅茶苦茶優秀だから。
犯罪を犯したプレイヤーには、《犯罪者》という属性が付与される。
それはつまりこの世界の警官全員が持っているスキル、《御用である!!!!》の発動を意味するのだ。
《御用である!!!!》……その効果は単純明快、《犯罪者》属性を持つプレイヤーに対する攻撃力が百倍になって防御力が百倍になる。
さらに犯罪者かどうかの判別も可能になるというおまけ付き。
そんな状況で、犯罪なんて犯すのはよっぽど馬鹿か、あるいは攻撃力百倍防御力百倍のチート警官に勝てる自信のある奴だけだろう。
あいつら《怠惰の極み》が全力状態の私と真正面から効果時間切れまで殴り合えるからな(経験談)。
まあ兎も角。
そんな警官どもを相手取る必要があるというのに、よくもまあ犯罪なんて犯せたものだなと。
私は感心しながら記事を開く。
「うわっ、この町で殺人事件ですか……怖いですね」
と、その時丁度掃除をしながら私の後ろを通りがかったユニが、そんなことを言い出した。
うん? この町?
「その内警察が捕まえてくれるとは思いますが……それでも捕まるまでは外出を控えた方がいいかもしれませんね……特にマコさんは一定時間以上怠けないといけない都合上、不意打ちには弱いですし……」
「……へえ、この町ってベルの町って言うんだね」
「……………………」
すっげぇ目で見てくるユニを無視して、記事を読み進めていく。
犯人は、女性。
道を歩いていた男女二人組を突然包丁で刺し殺して逃走したという。
通り魔殺人、か。
まあこんなのすぐ捕まるだろ、と私はニュースを閉じ、まとめサイトの巡回に戻るのだった。