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只今、異世界で自己改造中  作者: 獅子露
14/26

その後‥‥‥

遅くなって申し訳ありません。

リアルがバタバタしていましたので、1週間以上開けてしまいました。

一応1週間に1回更新を目標にしてます。

「あ〜終わったぁ〜。」


悪魔がどこかに転移すると、俺は地面に倒れ伏した。

切り札に全ての魔力を持っていかれたせいで、かなりギリギリの体力だった。


「ふぅ。くっそぉ〜っ!!

あの封玉はマジで俺の切り札だったのにぃ〜!!」


あの封玉の為に持ってる魔道具を出来るだけ値段を吊り上げて全て売り払い、自重していた冒険者の活動もやりまくって金を稼ぎまくってやっとのこと買ったのだ。


「あ"あ"あ"あ"。

クソォォッ!!金貨何枚使ったと思ってんだぁぁっ!!」

「あ、あの。」


ぶっ倒れた俺によく分からないが、年をとった爺さんがオドオドとしながら話しかけて来た。

よく見ると、周囲には音が止んだせいか、何人かが勇気を出して様子を見に来ていた。


「その髪色から察するに王族‥‥‥第二皇子のリオル様でよろしいでしょうか?

私はここの領主をしているハロルドと申します。」


人前には全く出ない俺を、何故知ってるのかと少し訝しげに思いながら一先ず立ち上がる。

相手が平民だろうと貴族だろうと寝転がったまま話すのは流石に失礼が過ぎる。


「ああ。俺が第二皇子リオルだ。」

「やはりっ!!ではリオル様の護衛の方々が、あのゴブリンの群れを討伐して下さったのですね?」

「え?」

「ん?」


何を言ってるのか。

常に単独で行動する俺に護衛なんか付いているはずが無い。

もし、俺に隠れている護衛が居たとしても今回の危機に駆けつけなかった時点で確実にクビだろう。


「護衛の方々は一体何処にいらっしゃるので?」

「え〜、まぁ残ったゴブリンを倒しに行ってるんじゃないかな?」


確かに皇子が護衛もつけずに王都から離れてるなんて普通は考えない。

ましてや、貴族ですら俺を知っている人は少ない。

貴族関係のトラブルに巻き込まれる可能性は少なくないから護衛はいると思っても仕方無い。


「ではリオル様。ゴブリンという脅威が去ったと言えどもここに長時間居られるのは危険です。

我が領主館で部屋を空けさせます。」

「‥‥‥‥分かった。」


本音を言えばサッサと快適な自分の家へと帰って、明日の準備を進めておきたかったが、流石にこの状況で断るのも不自然極まりない事も良く理解していた。


オオオオオオォォォッッッ!!!!

遠くで大勢の叫び声が聞こえるから、多分冒険者が戻って来たのだろう。

全く違う方向からは俺が戦っている時から響き続けていた鈍い音が無くなって、ドカンドカンと爆撃の様な爆発音が響いていた。


「心配しなくて良さそうだな。」

「?何か仰っしゃりましたか?」

「いや。何でもない。」


やっと終わったという安堵と共に俺は先導する領主に付いて行った。




「ガアアアァァァッッッ!!!!」


メキャッと骨が軋む音が鳴り、羊顔の悪魔の顔が爆散した。

その悪魔を爆散させたのは、あのヤギの角を持つ悪魔だった。


「身体が熱いっ!内側から焼け爛れるっ!」


身体中から湯気が立ち昇り、息を吐くと竜のように炎を吹きだす。

人間ならもちろん、並の悪魔ならばこの時点で既に息絶えているだろうが、幸か不幸か彼はある程度強い悪魔であった。


「荒れとるのぉ〜。」

「!?ベリアル様!!」


そこに訪れたのは彼よりも更に禍々しい角を持つ悪魔が面白そうにしながら彼を見る。

彼は脆くなった身体を強引に動かして膝をつく。


「よいよい。貴様程度とは言え、お主を退却させるに足る人間の切り札がどれほどのようなものかをちょいと見に来ただけよ。」

「グッ!!」

「ほ〜う。欠損と遺伝子強制の(やまい)とは、珍しい物をどこから拾ってきたのかの。」


チラッと見ただけで、ベリアルと呼ばれた悪魔は直ぐに症状を見抜いた。

そして更に隠れ潜む悪意にも気付いた。


「なるほど。何かは知らんがかなりの効果じゃ。

何処からこんな滅びた病を手に入れたのか興味深いが、それ以前に病を治したとしても酷い後遺症が数年残ってしまうようじゃな。

更には絶対条件(ギアス)の魔法も重ね掛けしておるな。」


絶対条件(ギアス)とは分かりやすく言えば、ハ○ターハン○ーの制約と誓約である。

とは言え、複数の絶対条件を組み合わせる事でデメリットを完全に無くすことも可能であるし、破っても反動など無く、ただ効果を一切発揮しないだけの事である。


「これに掛かっておるギアスは、魔力を全て注ぐ。格上相手のみ。血を一定量以上流す。これら全てを満たさないで使った場合、両脚の消失が条件じゃな。」


デメリットが無いとは言っても、自分でつける事は出来るし、デメリット有りの方が無い場合よりも数倍の効果を生み出す。

例えば、力を得る為に自分の持つあらゆる全ての物を捧げ、1秒後に死んでも良いという絶対条件を付けると、数百万倍の力が手に入るが1秒後には死ぬ。

曰く絶死(ぜっし)と呼ばれる絶対条件の種類の1つだ。


「四肢消失のデメリット付きの絶対条件か!!

くそっ!!厄介なっ!!ゴミ糞人間ごときがぁぁっ!!!!」


ベリアルはそんな感じで恨み言を叫ぶ彼を見ながら、心を落ち着けるように深く、ふぅと溜め息をつく。


「まぁ、何はともあれその人間の相手は任せますぞ。

こちらはこちらで色々と忙しい身の上でありますから。」

「当たり前ですとも!!誰であろうとあの人間を殺すのを譲る気は有りません!!」


彼の怒りに同調する様に身体から炎が吹く。

それを忌々しげに見詰めながら彼は無言で手から出る炎を握り潰した。




領主の館に通されると、置き手紙を残してすぐに王都へと走った。

身体のアチコチがズキズキと痛む‥‥がこの程度の痛みならば訓練でも味わった。


正直言ってあの果物屋のオッサンは俺よりも全然強いのだ。

俺がいても何の役にも立たないし、残ったゴブリンも帰って来た冒険者達に任せておけば、もう大丈夫だろう。


今回の事件で逝った人や、その家族には冥福を祈る。

この国の王族として、国民が死んだことに哀しみを覚えるが、所詮この世は弱肉強食なのだ。


「クソッ。」


頭の中でどれだけ言い訳を考えてもシックリこない。

当たり前だ。

自分でも納得出来ていないからに決まっている。


俺は誰一人として死人を出したくなかった。

被害は最小限に抑えられたと思っている。

実際、俺が動かなければ死者数は飛躍的に増大したであろう。


「クソッ。俺が弱いから‥‥‥。民が自衛の力を持たないから‥‥‥っ!」


弱肉強食は転生する前から俺のポリシーでもあった。

何かと戦うときは僅かでも“力”が上回っていた方が勝つ。

知力、人脈、暴力、狂気、権力、覚悟‥‥‥etc

弱いことは悪だ。だからこそ俺は産まれてからも知識を求め、技を磨いてきた。


「‥‥通用しなかったっ!!」


俺の頬を生温かい水が流れ落ちる。

悔しいっ!!腹立たしいっ!!苛立たしいっ!!

自分の弱さに。民の弱さに。悪魔の強さに。人間の脆さに。

全てが腹立たしく、そして悔しい。


「次は絶対に負けない。

俺は王族として、俺の(・・)民を殺させないっ!」


何となく胸のうちから湧いてくる感情に涙を流しながら、王都への道を駆け抜けたのだった。

取り敢えずここまでに伏線を散りばめておきました。

一番重要な場面の為の伏線もこの話で出しておきましたのでご期待下さい。

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