第6話 青山
「聞いて、ダーリンが最近全然かまってくれないの!」
「そうか。」
「休みの日もダーリンがショッピングに付き合ってくれないの!」
「そうか。それは残念だな。」
「でしょ。やっぱりあんたは話が分かるわ~」
「こんなかわいい彼女をほっとくなんて、ひ
どい彼氏だな。」
「ひどくはないもん! ダーリンは私の王子様
だもん!」
俺は今、女の子と話している。もちろん、カレンではない。
デートをしているわけでもない。彼女には彼
氏がいるのだから。ちなみに俺たちは今下校中だ。
カレンは夕飯の買い物で佐々木は塾らしい。
今、俺と帰っているのは、青山 京。佐々木
の彼女である。俺は彼女のいるリア充の友達
がいるのだ。
「でね、私、今度の日曜日にダーリンをデートに誘おうと思うんだけど、どこがいいと思う?」
「恋愛経験のない俺に聞いて大丈夫か?」
「あんたには、彼女みたいなかわいい妹がいんじゃん。どうせ、いつも一緒にお出掛けしてるんでしょ~」
元俺の英和辞典、現在、俺のメイドのカレン
はカレンの魔法によって、俺の双子の妹とい
うことになっている。だけど、俺は彼女と一
緒にデートをしたことはない。早くしたいけ
ど。
「映画館とか•••?」
「私、たぶん、途中で寝ちゃう。」
「じゃあ、ショッピングとかは•••」
「私だけじゃん。楽しいのは」
「言ってることがさっきと違うぞ。」
「遊園地とかは? 超定番だけど。」
「子供っぽいけどいいかな。ダーリンに電話
してみる。」
青山は子供っぽいけど佐々木想いのいい彼女
だ。俺もカレンとデートしたい。
「えへへ。日曜日は久しぶりにダーリンとデートだよ。」
「そうか。よかったな。」
「あんたも早く彼女つくりなさいよ。いいわよ、恋人生活。」
「余計なお世話だ。」
「まぁ、あんたには妹がいるもんね。名前、
えっと、」
「カレンだ。」
「そうそう、カレンちゃん。よく見るとあんたとあの子って兄妹なのに全然似てないよね。金髪美少女だし。」
確かに、こんな兄妹はこの世の中に存在しないだろう。
「あれ?そもそもあんたに妹なんていたっけ?」
お前も佐々木みたいなことを言ってる。
カレンの魔法は本当に効いているのか?
「まぁいいや、じゃあね~ バイバイ。」
青山が鋭くないやつでよかった。
青山の話を聞いていたら、俺もカレンとデートをしたくなった。
今度の休みの日に約束をしているがどこへ行けばいいだろう。
俺の初めてのデート••••••
佐々木に聞いてみるか。
「あっ、佐々木。ちょっと相談があるんだけど。」
「なんだ? 俺は日曜日のデートが超絶楽しみで仕方ないのだが。」
腹立つくらいのリア充だが、相談相手にはふ
さわしいやつだ。
「俺のデート計画を一緒に考えてくれないか。」
「本屋に行って新しい英和辞典(女)でも買ってくれば(笑)」
俺は電話を切った。
さて、俺と英和辞典の初デートはどうなるのだろうか。