第3話 英和辞典は恥じらう。
女の子とお風呂に入る。小学生のときに親戚
の子と入るとかそういうのじゃなくて、第2
次性徴を過ぎた高校生の男女が一緒のお風呂
に入る。エッチな漫画やアニメ、ラノベには
よくあることだが、それはあくまでもそうい
う2次元の中だけだと思っていた。
カレンは確かに今、俺の背中を流してくれる
と言った。 だけど、
「すごい、顔赤いよ。」
カレンはかなり自分の発言に顔を赤らめて
いた。それが普通の反応。
「いや、あの、変ですよね。英和辞典が恥ず
かしがるなんて。自分で言っときながら•••」
「やっぱり、カレンは普通の女の子なんだ
ね。英和辞典だった時も、感情ってあったの?」
「英和辞典のころはご主人様に使って貰える
"喜び"の感情しか無かったんですけど、
この姿になってからは、普通の人間、普通の
女の子の感情を持つようになってしまいまし
た。これじゃあ、ご主人様を満足させられな
い•••」
俺どんなことされるの!? 俺そんな欲求を満
たすために英和辞典を使ってたわけじゃない
んだけど。っていうかカレンも何を考えてい
るんだ。英和辞典ってそんなエッチなことを
考えちゃうの? メイドに変身する時点で驚き
だけど。
「カレンは無理しなくていいよ。今日は俺、
一人で入るから。」
本当は一緒に入りたかったけど、年頃の高校
生には厳しすぎる。アニメの主人公たちはす
ごいな。
「いやです! 私はご主人様と一緒にお風呂に
入りたいんです!」
「カレン•••」
カレンが俺と一緒に入りたい?
「恥ずかしくないの?」
「確かに、恥ずかしいです。でも、ご主人様
と一緒にお風呂に入れないのもいやです。」
俺はこんなかわいい女の子に一緒に入りたい
と思ってもらえるくらい好かれていることに
気づいた。本当は女の子じゃないんだけど。
嬉しい。恋人がいるってこんな感じだろうか。
カレンは彼女の部屋(前は空き部屋だった)へ
行き、何かを持ってきた。
「ご主人様••• 私が水着を着てお風呂に入る
ことを許してください•••」
彼女は頰を赤くして、涙目で俺に言った。
これじゃあ、まるで、俺が変態みたいだ。
「わかった。俺も水着を着てお風呂に入るか
ら。一緒に入ろう。」
俺は今日、生まれ初めて女の子とお風呂に入
った。その相手が英和辞典だったり、メイド
だったり、水着を着ていたり。そういう細か
いことは置いておこう。
英和辞典って胸が大きいんだな。
ちなみに彼女は自分のメイド服や水着を例の
魔法で生み出している。
英和辞典って凄い。