第1話 出会いよりも変身?
電子辞書が普及している中、俺は紙の辞書を好んでいた。付箋貼れるし、書き込みできるし。まあ、それは
置いておいて、俺は明日の授業の予習のために英和辞典を使っていた。そろそろ眠くなってきたので、英和
辞典を閉じ、俺は寝た。
翌朝、目覚まし時計の音とともに俺は目覚めた。俺はベッドの上にいる。その隣には金髪の女の子が寝てい
た。かわいいパジャマを着ていた。
当然俺は驚いた。昨日、女の子を自分の部屋に連れ込んだ記憶はないし、なにより、そんな関係にある女の
子は俺にはいない。
女の子が起きた。俺を見て、顔を赤くし、すぐにベッドから降りた。俺の顔を見ている。
「君は・・・誰?」
俺は当然の疑問を彼女に投げかけた。俺もいきなりかわいい女の子が俺の隣で寝ていたのでまだどきどきし
ていた。
「私はご主人様の英和辞典です。いつもご使用いただきありがとうございます。」
「英和・・・辞典?」
予想外すぎる答えが返ってきた。彼女何ていったのだろう。俺はまだ寝ぼけているのだろうか。
何だ英和辞典って。英和・・・辞典。俺は昨日寝る前に英和辞典を使った。まさか・・・
あり得ないだろうと思いつつ、英和辞典をおいたはずの机の上を見た。ない。
付箋がたくさん貼ってあるあれが・・・ 俺が混乱していると、
「私、ご主人様にはいつもお世話になっているのでその恩返しがしたいと思ったので、変身しちゃいました
た。」
英和辞典が美少女に変身するわけないだろうとか、そもそも俺が英和辞典にお世話になっているんだけど
とか思いつつ、彼女に何か言わなければならないと思い、考えを巡らせていると、ふと思った。
「じゃあ、俺、英和辞典使えないじゃん。」
「あっ」
英和辞典が使えるとか使えないとかは今の状況では考えることではないと思うが言葉に出てしまった。
「いや、その、英語以外の面でご主人様の役に立てればいいかなあって思いまして・・・あと、申し訳あり
ません。元に戻れません。」
英和辞典が英語以外の面でがんばろうとするなよとか思ったが、それより今、彼女は大事なことを言った。
彼女が英和辞典にはなれないと言うこと。
「でもこれからは、メイドとして、ご主人様の役に立ちたいと思います!」
「これから、うちで働くの、君が・・・?」
「だめでしょうか・・・」
「だめじゃないよ、というかうちに住むの?」
「はい!いつもどんなときでもご主人様のおそばにつきたいと思います!」
それって、同棲・・・ こんな美少女と。ラノベかな?
もちろんうれしいし、親も外国に仕事に行っててこの家にはいないし。これは同棲ライフをじゃまするもの
ない状態だ。
新しい英和辞典を買おう。美少女メイドと暮らせるならば安すぎる。
「申し遅れました。私はカレンといいます。ご主人様のお名前は?」
「俺の名前は・・・」
今の時刻は8時15分。
俺の家にメイドが生まれた日、俺は生まれて初めて学校を遅刻した。