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キリストの生まれ代わり81
私は勇躍ここで用件を切り出した。
私は言動を慎むような間を作った後に言った。
「でもその命懸けの行動様式が、けしてポーズでも格好付けでもない、当時の実存主義者の生命の喚起力を彷彿とさせていますよね。それは間違いない事実なのではありませんか?」
キリストが答える。
「当時のヨーロッパの風習や人々の息吹を知らない日本人だからこそ、神は死んだという語句の重さを計りかねて、それを格好付けやポーズとしか捉らえる事が出来ない無知の露呈は確かにあると思います」
推し量るるように私は言った。
「自分の無知なる部分を認めるのですか?」
キリストが頷き答える。
「私は未だ未完成なので、それは認めざるを得ないでしょう」
私は勇躍ここで用件を切り出した。
「日を改めて自分の祖母と会って貰えませんか?」
キリストが逆に私の存念を推し量るように言った。
「会って、どうするのですか?」
私は息をつき答えた。
「話をしてみて下さい」