キリストの生まれ代わり62
私はドラマーの意見に賛同しつつ、キリストと祖母を会わせてみたいという思い付きを脳裏に浮かべつつ、悍ましい地縛霊の話題を変えるべく話しをキリストに振った。
ドラマーが言った。
「いづれにしても地獄の法則性などが神秘のベールに包まれているならば、その件に関して話しをしても無駄ですね」
私はドラマーの意見に賛同しつつ、キリストと祖母を会わせてみたいという思い付きを脳裏に浮かべつつ、悍ましい地縛霊の話題を変えるべく話しをキリストに振った。
「祖母も人を苦しめず徳性を磨けばいい所に行けるのだと説いていました。その徳性とは愛の成就と同義だと思います」
キリストが我が意を得たりと恭しく頷き言った。
「そうですか、お祖母さんはそう言っていましたか。しかし突然死や自殺による死は愛の成就を阻害し降り出しに戻すから、己の魂が己の肉体感覚を持ったもう一人の自分に何故愛の成就を待たずして死んだのだと責め、耳を塞ぎ現世に戻る代わりに他人を殺し、己の地縛という苦しみから浮遊霊になって脱出するならば、苦しみから逃れたいという地獄の種別に関しては大差なく、やはり心の問題に帰結して、天への道程のターニングポイントと考えればつじつまは合いますね…」
ドラマーがキリストの話しを牽制するように再度言った。
「でも天災に依る突然死は責められるべき問題では無いでしょう。いずれにしても神秘のベールに包まれた地獄や天国の法則性についての話しは語っても無駄だし止めて、もっと卑近な愛の成就の仕方について語ってくれませんか?」
キリストがドラマーに尋ねた。
「貴方は己の魂を救済されたいのですか?」
ドラマーが頷き答えた。
「ええ、救われたいですね。だからこそここに話しを聴きに来たわけですから」