キリストの生まれ代わり53
この言葉を聞いた直後信者達が私を異端視する視線を感じ取り、店の空気がガラリと変わったのを私は感じ取った。
キリストが私に尋ねた。
「お祖母さんの生業は何ですか?」
「霊媒師です」
キリストがしきりに頷き言った。
「そうですか、貴方のお祖母さんは既に天界や地獄の何たるかを認識しているのかもしれませんね…」
私は率直に言った。
「祖母は自分が若い頃から人を苦しめてはならない。人の恨みが一番恐いのだと説いていました。自分はそれに逆らって人を苦しめてばかりいて結果百倍返しで苦しみ、最近団地でストーカーまがいの事をしていて、満月を見上げていたら、ああこんな事をしていたら、俺は苦しみ抜いた末に死ぬんだなと感じ、止めたのです。でもそれで自分の悪魔性が抜けたのかと自問自答すれば、その答えはノーであり、未だに人を苦しめたくてうずうずしている、そんな状態です」
この言葉を聞いた直後信者達が私を異端視する視線を感じ取り、店の空気がガラリと変わったのを私は感じ取った。
キリストが直線的に私を凝視し言った。
「そうですか、でもその内なる戦いは死ぬまで続きますよ。覚悟は出来ていますか?」
私はこの念押しに信者達の異端視を跳ね返すように答えた。
「それは覚悟出来ていますが、かなりしんどいと言うのが本音ですね」
「負ければサタンに魂を抜かれてしまいますよ」
私は首を振り答える。
「それは絶対に嫌ですね」