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キリストの生まれ代わり41
「それを認めてしまったらサタンを恋愛美の化身、芸術の一環として認めなければならず、それは断じて容認出来ません」とキリストは言った。
ドラマーが言った。
「悪態性の美の結合と言うか、例えばもてもての絶世の美女が、野獣のような男に完全無視されて惹かれてしまうケースは、お互いの冷酷さが絆を結び、それが恋愛関係としてのクールな美を醸し出すと言う事もありますよね?」
キリストが答える。
「それはクールさではなく、美しいとされる堕天使の悪態的美が惹き合った黒い美としての恋愛賛美ですよね。そこには体温と言うか熱い温もりが欠如しているので、真に美しい恋愛とは断じて言えないと思います」
ドラマーが反論する。
「でも芸術的観点から、そう言ったダダイズム的恋愛美も容認されるのが人間社会の慣わしだと僕は思うのですが」
キリストが反論する。
「それを認めてしまったらサタンを恋愛美の化身、芸術の一環として認めなければならず、それは断じて容認出来ません」