キリストの生まれ代わり37
「空には沢山の神や仏がいて、上を見たら切りが無いのじゃ。その者がキリストの生まれ代わりであると言うならば、そうかもしれないな…」といみじくも祖母は言った。
ここで一回目の遭遇は終了し、私はコーヒー一杯千円の高すぎる料金を支払い喫茶店を後にした。
その料金を支払う時、カウンターの賄いをやっていた女の子が、こちらを伺うように「献金だと思って下さい」と言い、私はその献金という語句を聞いて、教会で施す献金をイメージし、不承不承納得して、声をかけた女性に会釈してから外に出た。
アパートに帰り、その経緯を私は霊媒師たる祖母に伝えると、いみじくも祖母は言った。
「空には沢山の神や仏がいて、上を見たら切りが無いのじゃ。その者がキリストの生まれ代わりであると言うならば、そうかもしれないな…」
「婆さんと同じように他人を苦しめず、善行を施し徳を積めと説いていたけど、あいつは本当にイエスキリストの生まれ代わりかな。どう思う婆さん?」
祖母が答えた。
「お前が納得行くまで会ってみるがいいさ」
「でもコーヒー一杯千円だぞ。金が続かねえよ、婆さん?」
祖母がお地蔵さんのように柔和に微笑んでから言った。
「金は俺が出してやる。とにかく本物のキリストかどうか見極めるまで何度でも会ってみろ」
私は頷き答えた。
「分かった、婆さん、そうするわ」