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キリストの生まれ代わり29
「再度申し上げますますが、私は現人神ではなく一人間であり、啓示は受けたが未だ不完全なる人間なのです」とキリストは言った。
店の中にいる信者が一斉に色めき立ち、立ち上がり騒然となるのをキリストが一喝した。
「止めろ!」
その一声で信者は再び銘々席につき、事なきを得た後キリストが冷静な面持ちのままに言った。
「再度言いますが私は まだ修業中の身であり不完全なのです。それは受けた天の啓示に一貫性が無く矛盾を孕むという事にも繋がるのです、そこのところを承知で話しを進めて下さい」
周囲に注意深く目配せをしつつ私は尋ねた。
「何故神の子が不完全で一貫性が無いのですか。それこそが神では無い証拠ではありませんか?」
キリストが答える。
「再度申し上げますが、私は現人神ではなく一人間であり、啓示は受けたが未だ不完全なる人間なのです」
「人間が神になろうとする発展途上の神という事ですか?」
キリストが頷き答える。
「そうです。言わば私は神の子としてただ尊大であれば良いのですが、人間として不完全な分そうはなれないのです」