表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/109

キリストの生まれ代わり27

「しかしあのような非常事態に在って憔悴恐怖感や無念さの無い人間など皆無でしょう。それを克服し達観し戦線に赴いた彼らの侍魂は報われないのでしょうか。それは崇高なる魂の昇華、心の息吹だと思いますが、違いますか?」と私は反論を重ねた。

続けて私は言った。




「しかし特攻隊員の殆どの者がヒロポンをやっていたというのも風評に依るデマであり、現場検証も出来ない今、確かな論拠もないのではありませんか?」




キリストが顔をしかめゆっくりと顎を引き頷いてから答える。





「それは認めます。私も架空の絵空事を根拠にものを言っていました。ここは貴方の言う(きけ、わだつみのこえ)に則り話しを進めるしかありませんね」




私は恭しく頷き話しを続けた。




「彼らはその見識の高さで、今自分が巻き込まれている戦争が敗戦に終わる事をも予想して激烈なる戦線に赴いたわけです。虚無感と己の宿命の狭間で揺れる心はひたすら苦悩し、疲弊し切った後の達観、特攻敢行だったわけです。そんな彼らの行為は報われないわけですか?」




キリストが答える。





「いえ、無念の心情さえ無ければ報われます」




私は眼を細め反論を重ねる。





「しかしあのような非常事態に在って憔悴恐怖感や無念さの無い人間など皆無でしょう。それを克服し達観し戦線に赴いた彼らの侍魂は報われないのでしょうか。それは崇高なる魂の昇華、心の息吹だと思いますが、違いますか?」





キリストが息をつきおもむろに答える。





「いえ、報われるでしょう…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ