キリストの生まれ代わり26
「でも(きけ、わだつみのこえ)に則り、彼らは戦時下に戦争を虚無と否定敢行した、我が国の神聖な最後の清廉潔白なる侍ではありませんか。違いますか?」
私は質問を続けた。
「ならば神風特攻隊はどうでしょう?」
キリストが己の歎きを隠すように瞼を閉ざし、意を決するが如く見開いてから言った。
「残念ながら彼らの殆どが天へは召されていないでしょう」
「それは何故ですか?」
キリストが悲しげに瞬きを繰り返してから答える。
「あの決死行は、やはり狂気の沙汰の産物なのですが、その辛い現実を逃避する為に、彼らは当時流行ったヒロポンを使用しており、その薬物が邪魔をして天への道が閉ざされてしまうのです」
「しかしヒロポンを使用して狂っていても、彼らは死ぬ直前母さんと絶叫して特攻を敢行していますよね。それは薬物に冒されていない証拠にはなりませんか?」
「そんなのは映画やドラマの特攻隊礼讚賛美架空物語であり、実際にはヒロポンで狂ったまま悲惨な状況で特攻を敢行しているに過ぎない事が推察出来ます。それは明らかに薬物中毒の症状であると類推推察出来るわけです」
「でも(きけ、わだつみのこえ)に則り、彼らは戦時下に戦争を虚無と否定敢行した、我が国の神聖な最後の清廉潔白なる侍ではありませんか。違いますか?」
「勿論中には薬物を使わず、特攻を敢行した素晴らしい英雄的侍もいて、彼らは天に召されたと私も思います」