キリストの生まれ代わり16
「しかし聖戦だと鼓舞して敵を容赦なく殺して救済の道が待っていても、殺される側からするとそれは悪魔の所業であり、それ意外の何者でもありませんよね?」と私は言った。
私は質問を続けた。
「例えばある国の宰相が自国を自衛するために、他国の罪なき人々を虐殺殺しても、それが信仰深い宗教心に則って行われていたなら、それは聖戦の形を取り救いの道だという論理も成り立つわけですね?」
間髪を入れずキリストが答える。
「それはそうなりますね。質しその宗教というか戒律が本物である場合のみ真の意味での聖戦となり、罪とはならないわけです」
「しかし聖戦だと鼓舞して敵を容赦なく殺して救済の道が待っていても、殺される側からするとそれは悪魔の所業であり、それ意外の何者でもありませんよね?」
「正義を論う聖戦の善し悪しを度外視して、我々の戒律、汝隣人を愛せよの法に照らし合わせて、それが真の意味での聖戦になっていなければ、それは救済の道とは言い難いわけです」
「そうですか。あくまでもキリスト教は世界平和、博愛主義を自ずと標榜していると言いたいのですか?」
キリストが誇り高く言って退けた。
「そうです」