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キリストの生まれ代わり13
「ならば前世で人を殺した人が、その因果で今生で、その殺した相手に殺されるというのも、穿った話し愛の成就という事になりますよね?」と私は尋ねた。
私は一度深呼吸してから尋ねた。
「ならば前世で人を殺した人が、その因果で今生で、その殺した相手に殺されるというのも、穿った話し愛の成就という事になりますよね?」
キリストが答える。
「それは極論になりますね。因果律との絡みもありますから…」
私は言った。
「東洋思想に則りますが、因果律こそが愛の顕在化という論法もありますよね」
キリストが間を置き瞬きもせずに答える。
「そういう極論的発想もありますが、それをものして行けば、愛の概念というか、話しは益々混乱し、曖昧模糊の深度は深まって行きますから…」
私は恭しく頷き言った。
「いずれにしても愛の問題というか各自の心の問題は曖昧模糊としていて掴み所がなく、愛の成就という課題も広汎に渡るという事ですか?」
キリストがしきりに頷き答える。
「人類的規模で計ると、そうなりますね」