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キリストの生まれ代わり109

三日後、バイクで喫茶店へと赴くと、キリストとその信者がいる筈の喫茶店は閉店となっていて、キリストと信者達の姿は忽然と消え失せていた。

三日後、バイクで喫茶店へと赴くと、キリストとその信者がいる筈の喫茶店は閉店となっていた。




私はバイクを駆って帰宅途中、ひどくうろたえ、涙ながらに自問自答を繰り返す。





「店が閉店する事が、キリストが俺に殺される事なのか?」





「分からない。そんなの分かるわけがないだろう」





「あの喫茶店あっての救済発信だろう。あの喫茶店を畳んで他の場所で新たに店を開くのか?」





「分からない。これがお前がキリストの心を殺した事である事は間違いない事実だと思うが、それ以外の事は何も分からない…」





「復活と救済はどのように為されるのだ?」




「そんなの分からない。俺には何も分からない。ただ祖母さんに会うのを嫌ったのではないのか。違うのか?」




「それは無いだろう。キリストはお前に心を殺され、店を閉店して死んだのだ…」





「ならばどうやって復活し、人々を救うのだ?」





「分からない。ただお前がキリストを殺した事は間違いない事実だと思う」





「店が閉店したからと言ってキリストの心が死んだとは限らないないだろう?」





「いや、お前があの喫茶店たるゴルゴダの丘でキリストの心を殺したのだ。素直に認めろ?」





「認めない。そんなの認めて堪るものか」





私は帰宅し、バイクから降りて、迷い懊悩するままに滲んだ涙を拭い、不意にある異変に気がついた。





キリストやその信者達の姿形が、その透明感に掻き消され、克明に思い浮かばないないのだ。





特に顔が思い出せなくなっている事に、私は狼狽し訝り、何とか思い出そうとするのだが、逆にその努力をすればする程にキリストの顔と、その存在感はどこまでも希薄となって行き、その感覚を矯正する事が出来ないままに、私はふと考えた。




私はキリストの生まれ代わりだとする人物を殺したのだと。





だから顔が思い出せないのだと。





そしてもう一つ付記すれば、それ以降彼等と会う事は二度となく、復活や救済がどのように為されているのか分からないまま、私はこの小説を今こうして書いている…。

キリストの生まれ変わりだとする人物の顔はもう髭以外何も思い浮かばず、彼が何者だったのか、私には未だに見当もつかないのだが、彼が本物だったのか偽物だったのかは読者の判断に委ね、筆を置きます。通読有り難うございましたm(__)m

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