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キリストの生まれ代わり106
「いや、祝福されたのたがら謝る必要はありません。もう帰りなさい」とキリストは言った。
キリストが物憂い顔付きをして言い放った。
「これで憎悪としての救済に対する恵は予言通り完成したのです。貴方は祝福され、私は十字架を背負ったのです」
緊迫感を逸らす為に私は息を吐き出してからキリストに尋ねた。
「自分はまるでユダのような存在なのですか?」
警官が毒々しく言った。
「そうだ。貴様は我々を陥れ、地獄に堕とした悪態ユダ自身ではないか!」
キリストが警官を制しながら言った。
「いや、彼はユダでは無い。予言通り彼は宿命に則り、私に恵としての憎悪を植え付け、私の心は死に、そして復活を遂げ、人々を救済するのだから」
私は途方に暮れるように言った。
「自分はどうすれば良いのですか?」
警官が喚いた。
「彼女に謝るのが当然だろう!」
キリストがそれをも制して言った。
「いや、祝福されたのたがら謝る必要はありません。もう帰りなさい」