キリストの生まれ代わり10
「つまり愛の成就の仕方には個人差があり、一概に無償の愛を施したとしても天への切符は掴めないという事ですね?」と私は曖昧模糊な話しを質した?
私は畳み掛けた。
「しかし愛という言葉自体が曖昧模糊としていて具体性がありませんね。一体何を基点にして天は課題を課すのですか。無償の愛ですか?」
キリストが息をつき答える。
「それは個人差があり、それぞれに課された愛の成就の在り方に雛形はないと思いますね」
私はしきりに頷き尋ねた。
「個人差というならば、例えば無償の愛を施した人だけが天国に行けるというわけではないのですね?」
ここで意外にもキリストが誇り高い笑みを作り言った。
「それはそうですね。それぞれの愛の成就の形であり、その愛の成就の帰結の問題だと思います。それは心の深さの問題であり、その心の深さも個人差は有って、色合いは違うものだから、無償の愛という言葉でも一言で尽きせぬものはあると思います」
曖昧な意味合いの話しに私は渋面を作り、言った。
「つまり愛の成就の仕方には個人差があり、一概に無償の愛を施したとしても天への切符は掴めないという事ですね?」
「そうなりますね」