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おめでとう

作者: 千代

年が明けほのぼのとしている空気の中、息を荒らげ重たそうな荷物が上下不規則に揺れている。持久力には自信があるようでペースは一定だが少女の顔には運動によって出る汗ではない水滴が浮かんでいた。


「遅刻だ…。電車のバカ〜!!!」


走っている少女の名は好夢。彼女にとっては不運な日である。最寄りの駅で電車を待っていると一つ前の駅で電車が止まるという事件によって乗り換えに失敗したのだ。


「新年初不運じゃね?もう最悪。どうしよう…。」


もう1本前の電車に乗れば間に合っていただろうに無計画性は変わらないようだ。前も今日と同じ目的地で遅延に巻き込まれ指定されていた時刻に大きく遅れをとった。

遅延に遭遇する確率が高い好夢は多くの経験からすぐに対処はできるようになったようで、今日も駅のホームに機械の声が遅延を知らせた途端、仲間への遅れる連絡と最も早く着く電車を調べ始めたのだ。


「あ、いた!!」


好夢はスピードをあげる。目の前には自分と同じ格好をしている集団がいた。やっと追いついたと思い、声をかけようとした矢先、信号が寒色から暖色へと変化する。つくづく運が悪い少女である。


「はぁはぁ、おはよう…ゲホッ。」


信号が寒色へ戻ったと同時に駆け出し整っていない息で挨拶をした。


「やばww早くねwwww」


「あ、おはよう。」


「全然間に合ってるし。」


笑う黒き悪魔の芽実と色白コンビの紫依と紫史は好夢に気づき声をかけた。だが、あとの2人は趣味の話に没頭し、好夢を横目で確認するとすぐに話を再開する。栄輝が新たに発掘した趣味が実宇檎と見事に一致してしまい2人は更に仲が深まったようだ。


「ちょ、冷たくない?」

「あ、おつかれ」

「ハヤカッタネー」


構ってくれない2人に嫉妬をチラつかせるが、感情が篭ってない言い方であっけなく返された。もっと褒めてくれたっていいじゃん、と好夢がボヤいたが他の5人は扱いに慣れているのか無視していた。


「まぁ、好夢が来たことだし!」

「もうどうなるかと思った。」

「遅延は仕方ないっしょ?」

「とにかくとにかく」

「せーの!!」


「「「「「実宇檎、復帰おめでとう!!」」」」


怪我で試合に出れなかった実宇檎が8ヶ月ぶりに復帰するのを祝福する。実宇檎は唖然とこちらを見るが、表情は嬉しさを浮かべ始めた。


「ありがとう、紫依!!」

「「「「え、うちらは?」」」」


紫依に抱きつく実宇檎にツッコミが見事に合わさる。実宇檎は紫依ファンクラブの会長(仮)であり、紫依不足で屍の様になってしまうほど大好きなのだ。レズな訳では無いらしい。


嘘だよみんなありがとう、と照れるのを隠すように少し小さめな声で呟いたのを5人は聞こえたが何も言わず笑った。









「……い、よ………。おい…ボッチ!」

「誰がボッチじゃい!!」


実宇檎が顔の前で手を振って意識の確認をしていた。


「行くぞ、みんな先に行ってるから。」


先に階段を登っていく背中がいつもと違うように見えたのは気のせいだろう。


「そんなふうに祝ってあげたいな…。」


「なんか言ったか?はよ行くぞ。」


はーい、と気のない返事を返し階段を駆け登った。



これは1人の理想のおはなし







以前「誕生日プレゼント」で登場した6人の物語でしたが如何だったでしょうか?現実を元に作っております。

あまり伝わりにくい箇所もあるかと思います。さらに努力を続けるので感想などいただけると幸いです。今後も千代をよろしくお願い致します。

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