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え? 俺ってもしかして

作者: 三浦安針

 異世界図書と呼ばれる禁書の書架が王立図書館にはある。その書架には、様々な異世界の様々な書物が所狭しと置かれていた。

 そう、こんな本もあった。


「え? 俺ってもしかしてこの本に出てくる顔だけ騎士になっちゃうの?」


 そう、乙女ゲームの攻略対象としてヒロインに夢中になった挙句断罪イベントで逆転され落ちぶれる顔だけで実力がないと、近所の奥様に評判な騎士と同名の少年が怯えるような本が。


 彼、ランスロットは心底恐怖した。



 俺はただ怖かった。自分の人生が書かれた書物に出会ってしまうなんて。

確かに同年代にマリアという公女様がおられるのも確かだし、俺は騎士団長の息子だ。こんな偶然はあるものじゃないだろう。禁書となるぐらいだから異世界の予言書に違いない。


 ああ、どうすればいいんだろう。

って待てよ? 顔だけ騎士だからこういうことになるんじゃないのか? 今からでも遅くないから厳しい修行を行って、実力が伴った騎士になるのはどうだろう。恋愛とかはよくわからないけど、実力さえ伴えば

話も変わってくるんじゃないだろうか。


 よし、修行しよう。幸いここには、異世界の修行法が書かれた書物もある。顔だけ騎士と呼ばれない程度のことはできるんじゃないか?


 修行法の研究から始めることにしたが、今すぐにでも出来ることからは始めて行く。身体が出来るまでは過剰な筋肉をつけるとかえって大成しないようだ。俺は今は六歳だから、無理はしないほうがいいみたいだな。となると、基礎体力というものを付けるようにする方がいいようだ。将来伸びるための力を蓄えるとのことだから、非常に重要なんだろうな。


 また、戦いには頭脳や魔法も必要なようだ。頭を柔らかくするには小さいころから頭の体操をした方がいいみたいだし、魔法も幼ければ幼いほど魔力の伸びしろが大きいらしい。ならば、今の俺にはギリギリなのかもしれない。その意味では、恐ろしい予言書との出会いではあったけど、きっかけをくれたとしてむしろ感謝いけないのかもしれない。


 後、修行のことは周りに気付かれないように隠匿したほうがいいようだ。協力してもらえることとかを考えると、周りに理解してもらったほうがよさそうにも思うけど、世界の強制力なんてものが働いて周りに妨害される危険性があるみたい。隠すのは大変だけど、頑張るしかないね。


 書物によると、冒険者ギルドに貴族であることを隠して参加するのも必須みたい。別に貴族だからって、冒険者ギルドに参加しちゃいけない理由はないし、国もわかりやすい強さを誇示するということで貴族に冒険者ギルドでの活躍をむしろ推奨しているみたいなんだよね。でも、世界の強制力にあらがうには、秘密裏に参加するのがセオリーみたい。


 まあ、常識的に考えて僕の年齢で参加できるようなところじゃないし、今は冒険者ギルド予備校に参加させてもらうぐらいかな?



 そんなこんなで十歳になった。おとめげーむとかいうのの舞台となるアカデミーに入学十五歳からだし、まだ余裕はあるのかな? 親にはまだばれてないようだし、ギルド予備校での成績もいいからと、ギルド登録も認められた。登録名は、家名を除いた名前。家名を持つとわかれば、貴族だとバレバレだけど、ファーストネームだけなら、うまく隠せるんじゃないかな?


 うまく隠しきって、運命を変えてみせるよ!




「閣下、ご子息が冒険者ギルドに登録をなされたようです」


「ふむ、君が提案した禁書で教育プロジェクトは、意外とうまくいきそうだね。うちの息子がまさかここまで素直に引っかかるとは思わなかったが」


「まあ、それだけの資質があったということですよ。閣下も、将来が安心ですな」


「まあな。少しは人を疑うことを覚えてはほしいが、まっすぐに実力が伸びている。うまくばれないようにサポートして伸ばしていくに越したことはないな」


「それがよろしいかと。ところで、今回の成功を元に、各家ご子息に広げる方向で許可はいただけますか?」


「ああ、許可する。次の世代の人材をうまく育ててくれ」


「ありがとうございます。閣下」


 ランスロットがこのことを知るのは、成人してからであった。

とりあえず記念日なので、生存報告を兼ねて、乙女ゲーム悪役令嬢物ブームに便乗しての投稿です。

お読みいただいてありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 過去にやらかした転生者が居て それを教訓に記した書物、それが「異世界禁書」て奴でしょうか? ほんでもって有力者子息が読める場所に対象者の名前や立場をその都度書き換えて「これは俺・僕・私の事…
[一言] き、奇抜な発想っ!?
[良い点] 最近流行の乙女ゲームで婚約破棄に対して、断片的な知識をもとに試行錯誤する(であろう)主人公 [気になる点] 禁書なのに(本人的には)こっそりと子供が読めてしまうことへの説明不足
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