Epilogue
最終話です。ありがとうございました!
二週間後
私は何気ないように目を覚ました。悪名高いこの街の夏は過ぎ去ったのか、熱くはない。少し開けた窓の隙間からは、心地よい秋風が吹いていた。
最高の気候だ。秋雨前線はまだ到来していない。残暑も過ぎ去り、つかの間の休息と言った感じか。こんな日にはいいことがありそうだなと、そう思ってしまった。それほどいい天気なのだ。
私の朝は早い。自分でもそう思う。朝練をしている生徒より早いかもしれない。もう習慣なので、今更どうとかないのだけれど。
夏休みは終わり、文化祭が近づいてくる。今日は祝日だが、その準備のために集合がかかっている。いや、正しくは、集合を掛けたのは私だ。
今日集まるのは夏休みが始まる前に配った予定表に書いてある。何より、
十数分ばかりの通学路を終えて、私は学校へ着いた。
歩きなれた校舎の廊下を進んで階段を上がる。四階まで上がると私は足を止めた。
笑い声が聞こえてくる。
一つではなく、たくさん。
声の出どころは、生徒会室。確認するまでもなかった。
私は笑顔を浮かべていいのか。
いやいや、あれはきっと夢だ。私としたことが、夢と現実の区別がつかないなんて。呆れてくる。
しかし、あれは本当に夢なのか……
私の疑問は、生徒会室の扉に手を掛けたときに、確信へと変わったのだった。
「あ、真紀おはよう……って、泣いてる!?」
優ちゃんが驚いた表情で私を見ていた。
「え……?」
「真紀どうしたん?」
香坂もこちらへ寄ってくる。
「海人が泣かした!?」
すると須堂が茶々を入れる。
「まてまて」
「なんで泣いてるんだよ……」
遠野が呟いていた。
みんなの声が暖かく、私に突き刺さった。
それは、安心と、彼らに対する申し訳ない気持ちを感じているという事だろう。
泣いている私がいる以上、あれは夢ではなく現実だったのだ。しかし、もうすべて終わったことであり、私以外は覚えてもいなさそうだ。思い出されたら怖いが私が黙っていれば大丈夫だろう。
「目にゴミが……ね」
どこかで聞いたような言い訳のようなことを言って、私は席に着いた。置いてあった議事録を開き、一同に声を掛ける。
「じゃあ、準備について確認しようか」
この一週間、議事録はしっかりと記されていた。
Thank you for reading.
初めての完結とあって、多少の感動がありますね。
お気に入りとかしてくれるとうれしいです。