〝着信と異常〟
Day 4
家に帰ると眠り込んでしまっていた誠次は、不意を突かれた着信によって目を覚ます。ディスプレイに浮かんだのは、****着信アリ。
そういやそんなホラーあったっけな。
などと思い浮かべつつも、応答する。
「……なんだよ、こんな時間に」
『いや、ちょっと話があるんだ』
「へぇ、いいぞ。今日は気分がいいんだ」
『……そう言うと思ってた。ちょっと思ったんだけどさ……』
『とある誰かの通学路』
夏が過ぎ去ろうとしてると言っても、昼間の温度はさほど変わらない。ところが朝は少しばかり冷える。これは季節の移り変わりというやつなのだろうか。よく分からない。
俺、田村陸人はこの冷える夏の朝におかしさを感じながら、少しばかり考え事をしていた。
内容はここ数日の生徒会のおかしさだ。何も面白いというわけではない。どこか変なのだ。どこかのアニメで見たような、不気味なオーラが漂っている。
―――生徒会で、何かが起きている?
数名の様子がおかしい。須藤や朝霧、それに小山……。翔太も変だったと海人が言っていたっけな。
そんなことよりも、数名いなくなっている。まさか偶然ということはないだろう。旅行が重なったとしていても、事前に言うはずだ。
もしかして、あの黒い封筒……本当に起きてるんじゃないだろうな?
凝った悪戯だと思っていたが、考えを当てはめていくと合致する。
……それに、俺のカバンには黒いライトが入っていた。
考えるのを避けていたという事か。
殺人が起きたのか、とすれば、あいつは死んだのか。許しておくわけにはいかないだろう。俺は自分自身にと言いかける。
このままでいいのか。
俺はどうするべきなのか。
答えは案外すぐに浮かんできた。どうも朝の涼しげな雰囲気が、俺の脳を冴えさせているのかもしれない。それは心の奥底で願っていたこと、だれもが一度はあこがれるだろう。
これは使命だ。
殺人者がいるなら、探偵が必要じゃないか。
17:35
四日目は何も起きずに一日が過ぎた。それはあまりにも不安定な協定のおかげだろう。誰も何も起こさず、だれも死ぬことはなかった。
もちろん、これは誠次の想定内で、また、優奈の目論み通りともいえる。