表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/89

2「カーディナルとトランプタワー」


 カーディナル視点。短いです。


 トランプを組み合わせて大きな三角の物体を作る。そんな非生産的なことに心血を注ぐ。

 何故私がそんなことをやっているのか。理由は簡単だ。やってみたいかったから。それだけだ。

 と言うのは冗談だ。これをやり始めた時は、この酒場『モーリスの店』の店員に負けたくない一心だった。


 暇さえあれば・・・、いや、忙しい時でさえ遊び呆けるこの店員は、手先が器用だ。特にバランスを必要とする、このトランプタワーなるものなどを作らせたら右に出る者はいないほどに。それが悔しい。悔しいと言うか負けたくないと言うか。とにかく対抗心が燃え上がったのが運の尽き。昨晩からトランプと向き合う羽目に陥った。



 何故だ。何故私には出来ない。

 先程、休憩と言う名の逃亡を図った私は、奴が、あのやる気の見られない店員が、その手でトランプを高く高く組み上げているのを見て絶望した。

 何故私にはその器用さが備わっていないのだ。理不尽な憤りを胸に自室に戻って、以降トランプと再び向き合う時間が過ぎた。

 私が出来ないのは分かっていたことだが、それを証明するのがまた自分であると言うのが納得できない。


「・・・・」


 諦めた。数時間、いや最早一日と言って良い時間を無駄に過ごしてしまったな。何もすることがなかったとは言え、ちょっと贅沢に過ごし過ぎた。

 反省をして、トランプをしまう。と、ジョーカーのカードに目が行く。気紛れに渡したこれが戻ってくるなど思っていなかった。いや、正確には戻ってくるのはもっと先だと思っていた。奴がこれを必要とするのはもう少し先の話だと思っていたのだが・・・。

 まあ、ままあることだ。世の中そうでなくてはつまらない。特に私のような者は、こういったイレギュラーが一番の楽しみと言っても過言ではない。



 さて、あの娘たちは今どうしているのか。

 見えない未来が待ち遠しくて仕方ない。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ