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最終話 別れ

「…ミ…さん、ミ…サさん」


誰だろう。誰かが私を呼んでいる。


「ミサトさん!起きてください!」


「!」


目を開けると凪ちゃんが私を揺さぶっておりその表情からは私を心配していた様子みたいだ。


「もう、ミサトさんがいきなり意識を失って……。どうしようかと思いましたよ……」


「ああ、ごめん……。あまりにも揺れが大きかったものだから、多分それで意識を無くしたんだと思う」


「確かに時空に逆らった動きをすればそれだけ揺れも大きくなりますからね……。それはともかく、着きましたよ?」


「えっ?」


周りを見渡すと今さっきいた部屋とあまり変わらないが現在の私とは決定的な違いがあった。

……まだ私の部屋のほうが綺麗だ。

未来の私の部屋は床にまで物が散乱していたが、今の私の場合は机にしか物が散乱していない。現代に帰ってきたんだ。


「本当に帰ってきたんだ……」


思わず私はほっと溜息を付いた。

その様子を見てか凪ちゃんは少し寂しげな表情を浮かべている。


「じゃあ……これでミサトさんともお別れですね」


「もう、行っちゃうの?」


「だって……もう、役目は終わったわけですし」


何故だろう。

その言葉を聴いた瞬間、私の目から大粒の涙が頬を伝い零れる。

泣いている私を見て、凪ちゃんはポケットからチェック柄のハンカチを取り出し私の涙を拭った。


「ミサトさんが泣くなんて……。よっぽどのことだったんですね」


「まだ、たくさん話したかったのに……」


「大丈夫。また会えますよ」


「本当に?」


「本当に。約束しますよ」


優しい笑顔を浮かべながら凪ちゃんは私の小指を手に取り指きりげんまんをする。


「それじゃ……また未来で。お母さん」


凪ちゃんはにっこりと笑い、クラシックテレポーションを作動させた。

景色が変わり、やがて眩しい光がやんだ頃……。

目の前に凪ちゃんはいなくなっていた。

私に渡したチェック柄のハンカチを残したまま――。


◇◆◇


あの出来事から一週間。

まるであの出来事は嘘だったかのように今までと変わらない生活を送っている。

非現実は現実へと戻ったわけだ。

今でも時空を超えていたことなんて信じられないがそれを証明するかのように、机の上には凪ちゃんが私に渡して帰ったチェック柄のハンカチがそっと置いてある。


「ミサト!何時まで部屋にいるの!夕飯の支度が出来たから早く来なさい!」


下から母の声が聞こえてくる。

仕方なく、私は読んでいたファンタジーの本の手を止めベットから降りる準備をする。

ドアノブに手をかけようとした時、ふと窓側に写っている星空に目を奪われた。


今日も綺麗な星空だ。

未来も同じ空が広がっているのかな?

また会えるよね?凪ちゃん。


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