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第二話 少女の正体

公園の広場では人々が朝のウォーキングや犬の散歩をしている。

その中で制服を着た私と少女がベンチに座っており周りからは学校をサボったように見えるのだろう。少しばかり視線が気になる。

しかし気にしていては始まらないので私は目の前に座っている少女に視線を向けた。


「それで、お話というのは……」


彼女が話を始めようとした瞬間、すかさず私は話を止めた。

流石に何処の誰か分からないのに話をされたら正直困る。


「待ってよ。まずは名前を聞かせて?私は鈴音ミサト(すずねみさと)。貴方は?」


「あっ、すみません。話のことで頭がいっぱいで……。私は天音凪(あまねなぎ)と言います」


名乗るのを忘れて恥ずかしいかったのか少女――凪ちゃんは少し照れた表情を浮かべていた。


「で、凪ちゃん。話と言うのは?」


私の率直な質問に対して凪ちゃんは想像を超えたことを口にした。


「えっとですね、私は未来から来たんです」


「はぁ!?」


思わず私はすっ飛んだ声を上げざる得なかった。

いきなり大声を上げたため、人々はこちらに振り向いたが、私は軽く頭を下げると彼らはそのまま視線を元に戻す。

この子電波系なのかな……?

私はそんなことを心の中で思いながらも凪ちゃんは話を続ける。


「やっぱりいきなり信じてくれませんよね……。お母さん」


「お、お母さん!?」


ますます訳が分からない。

とりあえず彼女のためにも病院へ連れて行ったほうがいいのだろうか。


「私は未来の貴方の子供です。それで……、貴方に助けて欲しくて未来から過去に飛んできました。このままじゃ私の未来が変わってしまうんです」


彼女の発言に私は我が耳を疑う。でもこうなったら彼女の話を最後まで聞くしかない。


「未来が変わるって、どういう?」


「貴方の未来はとある人と結婚し私が生まれるわけなんですが、とあることが原因で、このままでは、そのある人とは結婚せず一生を独身で過ごすことになります。それで、いろんな過去をたどった結果この時代のミサトさんが一番未来を変えれる可能性が高かったので此処に飛んできました」


「でも、過去は変えられないけど、未来は何処かで変わるものだよ?私、別に死ぬまで独身で貫いてもいいし……」


私の適当な答えに凪ちゃんは立ち上がり力強く言う。


「それじゃ困るんです!」


「じゃあ、何が困るの?」


「今、未来のミサトさん……お母さんが過去の出来事に手を加えようとしているんです。私のいる未来は、タイムワープの技術に優れています。タイムワープと言うのは過去・未来を知り、移動することが出来る技術です。勿論、移動し過去を変えることも……。どうやらお父さんと過去の出来事で何かあったらしく、お母さんは過去を変えようとこの時代の前後の時空へワープしたらしいんです。それで私も追っかけて……」


話を聞いているうちに私は少し頭が混乱してきた。

タイムワープ――恐らく話の内容から推測するに、某アニメに出てくるタイムマシーンみたいな技術のことだろう。

過去の出来事で未来を変えてしまうって私はそんなにひねくれた性格になっているのだろうか?


「その未来の私は何処にいるの?」


「それが……」


私の質問に対してバツが悪そうな表情を浮かべている。


「まさか、わからないとか?」


「その……まさかです」


私は小さく溜息を付いた。

何で肝心な部分を知らないんだ……。

そう思うと私は頭を抱えて溜息を付かずには居られない。


「その未来の私を見つけるのってかなり難しいことよ?」


「でもこの時代の前後にいることは間違いないんで……。一つ一つの時代へ行って見るしかないですね」


「で、どうやって行くのよ?」


正直、未だに私は彼女が未来人だということは信じていない。いきなり話をされて信じれるはずもない。

すると凪ちゃんは制服のポケットから何かを取り出した。よく見てみると携帯電話みたいな形をしている。


「それ何?」


凪ちゃんの手に握られている携帯電話を指して私は聞いた。


「これですか?クラシックテレポーションですよ」


「クラシックテレポーション?携帯じゃなくて?」


「携帯?それは何ですか?」


そう問われて私はブレザーのポケットから、クマのストラップの付いた携帯電話を取り出し凪ちゃんに見せた。

珍しいものを見るかのように私の携帯電話をまじまじと見つめ、これが携帯ですか。この時代になって遠くにいても電話出来るようになったんですね、と感想を述べている。


「そのクラシックテレポーションって言うのは、携帯に似てるけど何のために使うものなの?」


未だに私の携帯を珍しそうに見ていた凪ちゃんは私の問いにこちらに視線を向けると自分が持っている『それ』を差し出しながら、説明を始めた。


「それですか?多彩な機能を持っている便利機器ですよ。私の時代では一般的に広く普及しています。ミサトさんが言ってたその……携帯電話?と同じ機能も持ってます。他の機能といえば、これで他の場所へワープしたり、最近発明された時空空間を使ってクラシックテレポーションの中に財布や大切なものを入れることも出来ます。ただ、ワープは同じ時空じゃないと瞬時には移動できませんが。そして一番の機能は、過去未来の時代に飛べることですね」


「そんな機械で他の時代に飛べちゃうの!?」


私は予想外の機能に驚きを隠せない。

大切なものは瞬時に出し入れが出来る機能を持っていておまけに他の次元に飛ぶことが出来るとは。

凪ちゃんの年齢からして恐らく数十年後の未来のことだろう。そんな時にはもうこんな便利な機械が発明されているのか。私は開いた口が塞がらない。


「すごいね」


「基本的に何処にでも行くことは出来ますが、政府が管理し、立ち入り禁止になっている時空には行けません。なので、少しいける場所は限られてきますが……。何処の時空から行きます?」


「何処の時空って言われても……。とりあえずこの時代の前後ってどのぐらいの年月のことをいうの?」


「私の時代で言われている時代の前後と言うのは、1~6年後ぐらいですね」


「順番に行くしかないんだよね。まずは二年後の未来へ行ってみない?」


「ミサトさんが望むのならそうしましょうか」


凪ちゃんはそのクラシックテレポーションとやらに何らかの設定をし始めた。

すると突如、周りの景色が暗くなってくる。


「なんか周りの景色が変わっていく……」


「時空を移動するときには揺れが激しいですからね。しっかり私の手を掴んでてくださいよ」


そう言われ、私は凪ちゃんの手を握り締めた。

手を繋いだ瞬間、激しい揺れが私の体を襲う。

ジェットコースターの落下よりも数十倍きつい。

あまりにも揺れの速度が激しく目も開けていられないほどだ。

これが私の初めての時空移動の体験となった。



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