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エイシスト  作者: 翔陽
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秩序と変革


夕陽に染まる裏路地。

いつきは見られたと言う動揺を隠せないでいる。

すると表通りから1人の少女が近づく。

狭い空間に、二人の影が揺れる。


「行くよ、君の力、見せてもらう」

「君は誰?」

いつきの問いは空振りに終わる。

ましろはフードを深くかぶり、一歩踏み出した。

 運動エネルギーを"固定"した体がしなり、通常の数倍の速度で少女が迫る。

そのまま、ましろが勢いよく足を振り上げる。

...!?

 いつきはいきなり迫ってくる少女とそのスピードに驚き自然と右手を前に出した。

 ただ、自分の身を守ろうと。

蹴りが迫り、いつきの"右手"に触れた途端、ましろの蹴りは跳ね返された。


 ——衝撃が止まった。

 ただ、その速度には耐えられず尻もちをつく。


 「な、なんだ……!?」

 "右手"の違和感に戸惑いながら、いつきは後ろに後退りする。


 ましろは微笑む。

 「偶然じゃないわ、君の力を試してるの」

 蹴り、パンチ、回転の遠心力で威力を増した蹴り。手数の多い攻撃がいつきを攻め立てる。

だが、まだこの状況が整理できない、いつき。


———闇雲に"右手"で防御を繰り返す。

それはいつきの本能だった。


 路地の壁、手すり、階段——すべてが戦場になる。

 蹴りが壁に当たり、砂利が飛び散る。

 "右手"に力を感じるたび、偶然の防御が生まれる。

 だがそれが意図的でないと理解して、恐怖が胸を締め付ける。


 「どうして……? なんで止まるんだ……!」

 いつきは思わず声を上げる。


 すると攻撃をやめたましろは冷静に観察する。

 「君、まだ自分の"力"を理解してないのね。

 ——面白い」

 ましろは微笑む。

 また攻撃態勢に入り今度は蹴りの速度や角度を微妙に変え、動きを読ませない。

 右手が防御を作るたび、ましろは笑みを浮かべる。


 いつきは息を整え、壁に手をつきながら思う。

 ——俺は何ができるんだ。

右手を置くだけで、防げる。あの攻撃を。

 だからなんなんだ。なんであの子は攻撃してくるんだ。


 「来るなら来なさい!」

 ましろがそう言葉を放つと

動揺していたいつきの感情は

———いつしか怒りへと変化していた。


(なんだよ、もうどうなっても知らない。)


心に積もる歯痒さと不安。

それら全てが含まれていた。

———その"右手"には。


 "それ"を握りしめ前に突き出す。

矢印が微かに光り、ましろの蹴りと相反する。

 それでも、身体強化されたましろの速度には押される。


 二人の影が絡み合う路地。

 光と影。

 偶然と計算。

 能力と体術が混ざり合う。


 手探りの防御、試される勇気。

 ――これが、俺たちの戦いの始まりだった。


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