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エイシスト  作者: 翔陽
29/39

聖なる刃


———荒れた荒野

崩れた礼拝堂。


日が照らす中、

礼拝堂に向かって行く一つの影。


その人物は、中を確認すると、

ペイモンに話しかける。


「オリエントは?」

黒髪に、長髪。

その影は、アリトン。


「出たぞ。」

ペイモンが答える。


「もしかして一人で?」


「だな。」

軽い口調のハザエル。


「まぁ、あいつのことだ

大丈夫だろ。」

ペイモンは落ち着いていた。


「それより、どうだった??」


「...話の通りだね。」

「狙うならやっぱりあの神輿みこしかな。」

「上に女神っぽい像もあったし....」

アリトンは話しながら、隅に向かっていた。


「まぁ、その役は、オリエントだろうな。」

「あいつなら一瞬だ。」

ペイモンが笑う。


「あぁ...俺もぶっ壊したいのになぁ....」

ハザエルはつまらなそうに、

ナイフで遊ぶ。


「まぁ、祭りの日、人は山ほどいる。」

「そっちで遊んどけ。」

この手の会話は、ペイモンにとって、

日常だった。


「そうだなぁ...」

そうハザエルが答えると、

アリトンは不安げな表情で、

ペイモンに聞く。


「"神"は動くかな?」


「そればっかりは、

その日にならんと分からんよ。」

ペイモンは肩をすくめる。


「...オリエント、無事かな?」

アリトンは壁の隙間から、空を眺めた。


———


———その時、

いつきは街を駆け巡っていた。

ビルの屋上、道路、広場、住宅街....


(ましろ....どこにいる?)


(本当に、無事なのかな....)




その声は突如、いつきの耳に、届く。


「おう、少年。」

「迎えに来てくれたのか?」


その声の主は———

オリエント。


それを確認するいつき。

「お前.......ましろは⁉︎」



「ましろ?誰だ?」

「俺は、お前に用があったんだよ。」

自分の爪を見ながら、

オリエントは話しかける。



「なに?」

不服そうな表情を浮かべるいつき。


「俺らと来い。」

「"神"を堕とすぞ。」

いつきを見据えるオリエント。


「そんなことより、今はましろを見つけないと」

いつきは、目を逸らす。


「うるせえな。」

「そんなに女が大事か?」

オリエントの眉間にしわが寄る。


「それより、俺の話を聞け。

さもないと———」


「さっき、知らないって」


「それは冗談だ。」

笑うオリエント。


「お前の事を心配して、俺達のとこにきたよ。」

「さすが、秩序のお姫様だな。」


「どこにいる?」

いつきが一歩踏み出す。


「まぁ、待て。」

掌で、近づくいつきを、制する。


「それは俺の話を聞いてからだ。」


「今度、ヒカリノで祭りがあるだろ?」

「それをぶっ壊す。」


「っ........」

「どうやって?」


「そうだなぁ。」

「とりあえず、あの馬鹿デカそうな神輿は跡形もなくなる。」


「それから———」

「"神"を信仰してる奴らも。」

「全部消す。」


「そんな.....」

「関係ない人まで巻き込んで.....」

いつきの眼は真っ直ぐオリエントを捉える。


オリエントは、空を見上げる。

「そこまでしないと"奴ら"は、堕ちて来ないだろ。」

「たいした事じゃ、うごかねぇ———」

「だから、派手にブチかます。」


いつきに視線を戻すオリエント。

「分かったら一緒に来い。」



「行く訳ないし、」

「———そんな事は、させない。」


「だったら、今、止めてみるか?」

そう言うと、オリエントは、

いつきを覗き込み、挑発する。


「手遅れになるかもな。」


その言葉に、

いつきは、右手を握りしめる。


「何してるの?」

二人の間に、高い声が響く。


いつきは、その声の主を確認すると同時に、

言葉を投げかける。


「ましろ⁉︎」

「無事なの⁉︎」

驚くいつきを他所に、

ましろは平然としていた。


「当たり前じゃない。」


今度は、ましろがオリエントを確認する。

「あなたは....」


いつきの前に立ち塞がる。

「いつきには手を出さないで———」



「やれやれ...」

「そいつの"力"がどんなもんか、試してやろうと思ったのに。」

オリエントが肩を落とす。


「邪魔すんじゃねぇ。」



「うるさいっ。」

「関わらないでって、言ったでしょ。」

睨みつけるオリエントに、

ましろは動じない。


「それは無理だな。」

「お前も知ってんだろ。」

「そいつの"力"———」

ニヤリと笑うオリエント。


「"見える"ってのは異質だ。」


その瞬間———

ましろのまぶたがピクリと動く。


「そんなことない。」

「異質でもないし、特別でもない」

「帰って。」


「どいつもこいつも....」

オリエントの頭に血が昇る。


その衝動が止められないオリエントは、

ましろへ向かって、左手を突き出す。


「っ———」

何かを放とうとするオリエント。


その刹那、


ましろは突風に煽られる。

「———っ......何?」

髪が流される。


否———。

その風は、いつきそのもの。


オリエントの動きを察知した瞬間、

いつきは右手で、自分の脚に触れた。


その風は、

オリエントの左手を掴み、

睨みつける。


「———やめろ。」



「っ———⁉︎」

「なんだよ。」

オリエントの額には、汗。


「ましろにも、街の人間にも、手を出すな。」

いつきの眼が、オリエントの眼を、

真っ直ぐ射抜く。


「放せっ」

オリエントは手を振り解き、

背中を向ける。


「まぁいい。」

「気が変わったら、いつでも来い。」

「東にある荒野。そこの礼拝堂にいる。」


そう言うと、

オリエントは、飛ぶ様に去った。



———


「.....ありがとう。」


「——今、使った?」

いつきを覗き込むましろ。


「......う、うん———。」

「でも、あのくらいなら大丈夫だよね?」

ましろに反し、いつきは、目を逸らす。


「私には分からないけど、多分———」



———時同じく、

ベルグラド大陸。



街中の一角にある一軒家。


玄関先には、

大量の酒樽が、積み上げられている。


突如、酒樽の一つに穴が開く。


その穴からは、エールがしたたり落ちる。



———天空の社。


ここは、闘技場の間。


光も闇もない空間に広がる、レンガ造の広場。

中央には、剣や斧、盾、槍、が集められている。


如何いかがされました?」

イニュオが、男に向かって問う。


「相手になってくれ。」

その相手とは、アレス。

身体からは、湯気が溢れる。


「それは問題ありませんが...」


イニュオの不安を察知したアレスは、答える。

「ここ最近、身体が疼く。」


「———待ち侘びているのですね。」


「...あぁ、落ち着かない。」


そう言うと、アレスは剣を握る。


それに答える様に、イニュオは槍を構える。


空気を切り裂く音。

それと共に、

混ざり合う刃。

そこには、心地の良い金属音が響いていた。


———その時を、今かと、待ち侘びる"神"。


それに答える様に、

反逆の炎は燃え上がる。


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