"神殺し"の少年
———荒野に佇む崩れかけの礼拝堂。
「......っ....!?」
オリエントは焦るように飛び起きた。
「おい!あいつは!?」
叫ぶオリエント。
「あいつ?モイラって女か?」
「もう帰ったぞ。」
ナイフを片手につまらなそうなハザエル。
「やっと起きた...。」
どこか嬉しそうなアリトン。
「なんだ、逃げたのかよ。」
「仕返ししてやろうと思ったのに」
目を合わせるハザエルとアリトン。
それを他所目に、辺りを見渡すオリエント。
「そういえばペイモンはどこいった。」
「ペイモンなら、宴に行ったよ。」
アリトンが答えた。
「サバトにか!?もうそんな時間かよ...」
そう言うとオリエントは頭を抱える。
「くっそ...
今日は面白そうな気がしてたのに...」
「まぁだいぶ落ちてたからな」
ハザエルは笑った。
「笑い事じゃねぇよ....くそっ...」
———「おぉ、目覚めたのか?」
低い声が礼拝堂に響く。
「おっペイモン、どうだった⁉︎」
オリエントは身を乗り出す。
「お前の予想通りだ。」
「いい話を聞いたぞ。」
興味津々にペイモンへ近づく3人。
———
「ここから西に30キロ」
「その街に面白い少年がいる。」
「面白い少年って?」
オリエントが聞いた。
「なんと言ってもこれだろ。」
———「"神殺し"。」
「"神殺し"!?」
オリエントとハザエルは声を合わせた。
「あぁ、なにやら、特別な"力"を持ってそうだ。」
「...この間の事件知ってるだろ?」
「自称"神"って名乗ってた奴か?」
アリトンが言う。
「そうだ、それを止めたのがその少年らしい。」
「てことは、自称"神"て奴も"力"使えたのか? 」
オリエントが問う。
「あぁ、ニュースでは制限が、かけられてたそうだが、それを目撃した奴らが言ってた。」
「あれは確実に——"力"らしい。」
「...だから、"神"を名乗れたって訳か。」
ハザエルが声を吐いた。
「だろうな。」
「でも、本題はそこじゃない。」
「その少年がそいつに"接触"した後。」
「——大人しくなったらしいんだ。」
「なんか言われたんじゃねーの?」
「ガキにバカにされたとかよ。」
ハザエルは嘲笑うように言った。
「それだけで、
モイラって女が、その少年に"接触"したと思うか?」
「...っ!モイラが?」
オリエントは驚いた様子だ。
「あぁ、俺はさっきの一瞬しか彼女を見てないが、そう簡単に動く女じゃないだろ?」
「"神"にも目をつけられてるしな。」
オリエントが独り言のように呟く。
「そうなのか!?」
今度はハザエルが驚く。
「...あ、聞こえちまったか?」
「まぁ...俺のせいなんだけどよ。」
3人は興味深そうにオリエントを見つめる。
「....なんだよっ。」
オリエントが言葉を投げつけると、
3人は目を逸らす。
「まぁ、いいや。」
「でも、その自称"神"とやらが、"力"を使えたとして、なんで"神"がほっといたんだよ。」
「俺の時は、すぐに来たぞ。」
眉間に皺を寄せるオリエント。
「それは知らん。
『"神"のみぞ知る』だ。」
珍しくペイモンがふざけた調子でしゃべった。
「馬鹿言ってんじゃねーよ。」
オリエントも笑った。
「その"神"とやらは捕まったんだろ?」
「なら、その少年に話を聞くのが一番早いな。」
不敵な笑みを見せるオリエント。
「そして、ホントに"神殺し"なら———」
ペイモンが続ける。
「いい駒になりそうだな———。」
————「...あぁ...。」
そうペイモンに答えると、
オリエントは沈む夕日を眺めた。




