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エイシスト  作者: 翔陽
17/39

六柱神会合/反逆の名


時は少し遡る。

イニュオがいつきの前に現れた時。

光も影もない円卓のでは。



六つの玉座に座す六柱神ろくちゅうしん



沈黙を破ったのは——

観神かんしんアテナだった。


「……人の組織が動いてる。」


その一言で、空気が変わる。


犠牲神ぎせいしんオーディンが静かに問い返す。

「人? また信仰団体か」


「違う」

アテナは即座に否定する。

「神を否定し、代替だいたいを目的とした集団よ」


その言葉に、

円卓の一角で——動神どうしんアレスが笑った。


「はっ。人が神になり代わる?」

「面白い冗談だ」


だが。


祈神天照きしんあまてらすは、はっきりとした口調でいう。

「……冗談なら、観測には引っかからない」


視線が、空席の一つへ向く。


そこに"光"が当たり立体化した映像が浮かぶ。


明るい短髪の男。

挑発的な笑み。

重力が、彼を中心に歪んでいる。

——まるで世界が、

彼に従っているかのように。



「名はオリエント」

アテナが告げる。

「組織名『サタン』」


アレスは吐き捨てるように言う。

「あいつか。」


天照が目を伏せる。

「……随分と挑発的な名を」


「意図的だ」

オーディンが呟く。

「“敵対宣言”。だな。」


映像が切り替わる。

そこには3人の男が映し出された。


スキンヘッドで巨躯の男。

黒髪でどこか覇気のない男。

片手にはナイフ、舌を出し笑う狂気な男。


「全員、元犯罪者」

アテナは続ける。

「だが能力は高い。系統は起点型と共鳴型の混成」


変神へんしんロキは楽しそうに、

「また、面白そうな奴らだ」


アレスが立ち上がる。


「なら俺が——」


「駄目だ」

アテナが遮る。

「あなたが出れば、被害が広がる」


「ふん」

アレスは不機嫌そうに背もたれにもたれる。

「人の反逆など、踏み潰せば終わる」


その時。


低い声が響いた。


「……踏み潰せないから、問題なのだ」


口を開いたのは、

無神むしんハデス。


「サタンは、神を“否定”していない」

「彼らは——“代替だいたい”を狙っている」


アテナが眉をひそめる。

「違いは?」


ハデスは淡々と答える。


「否定は破壊」

代替だいたいは、置き換えだ」


一瞬の沈黙。


ロキが、珍しく真顔で言う。

「……それは、神の席を奪うという意味だね」


「そうだ」

ハデスの瞳が、微かに揺れる。

「彼らの目的は“神になる”ことではない」


「神である“必要性”を消すことだ」


その言葉に、

円卓の空間が、わずかに軋んだ。


天照が静かに問う。

「……成功する可能性は?」


ハデスは、言葉を選んだ。


「ゼロではない」


アレスが立ち上がる。

「なら尚更だ! 今すぐ——」


「動くな、アレス」

アテナの声は鋭い。

「彼らが求めているのは“神の介入”よ」


ロキが笑う。

「介入すれば、彼らの正当性が増す」


アレスは舌打ちする。


「……人ごときが」

——その声にはかすかな苛立ちが混じっていた。


アテナは、円卓を見渡す。


「すでに世界は分岐している」

「いつき」

「サタン」

「六柱神」


「三つ巴だ」

続けてアテナが告げる。


「選択を誤れば——」


オーディンがその言葉に介入する。

落ち着いた声で。


「——神が“旧世界”になる未来も、見えている」


円卓は沈黙につつまれる。


しばらくの静寂が落ちる。


アテナが静かに締めくくった。


「……監視を強化する」

「だが、直接干渉はしない」


アレスは不満そうに座り直す。


「好きにしろ」

「だが——」


拳を握る。


「俺の獲物を横取りされるのは嫌いだ」


ロキが笑う。

「その感情こそ、彼らが狙ってるんだけどね」


——


会合が終わり、

円卓の光が消える。


その会合を見届けていたヘルメス。


「神は、世界を保つ」

「だが——」


「人は、世界を選ぶ」


次に動くのは、

神か、人か、反逆者か。


世界は、静かに軋み続けていた。


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