第27話 インフラなんて怖くない
寒い、服着たいが、あと3話アップする
ショウタウンと王都チーギュウを結ぶ大動脈、
その名も**【ゲキオコプンプン鉄道】**の建設工事が始まった。
ネーミングは第3王子レスバだ。
「激しく怒るように速い」という意味らしいが、センスが古すぎて逆に新しい。
設計は俺とクレメンス(ハシガミ)、そしてゴボテンによる共同監修だ。
地上から数メートルの高台(高架)を作り、その上に複線の鉄道を敷く。
高架下の両脇には舗装された道路を整備し、50メートル置きに
半地下のトンネル(アンダーパス)を設置して、人と車がスムーズに行き来できるようにした。
動力は、まさかの「オール電化」だ。
電力を生み出すのは、俺が考案した禁断のシステム――【転移式・無限水力発電】。
1.上空に【転移ゲートA】を開き、水を落とす。
2.落下の位置エネルギーでモーターの羽根を回す。
3.底に溜まった水は【転移ゲートB】に吸い込まれ、再び上空のゲートAへ戻る。
永久機関だ。
物理学者が発狂しそうなシステムだが、魔法があるなら使わない手はない。
この小型発電所を線路沿いに多数配置し、補助として魔石モーターも積んでおく。盤石だ。
◇
この国家プロジェクトには、大量の人員が必要だ。
俺たちは「南半球」からの留学生や労働者を積極的に受け入れることにした。
特に、線路や道路の敷設工事の募集は、あえて「闇ギルド」のアジトに近い貧民街で行った。
提示した条件は――
『賃金は相場の5倍。3食昼寝付き。寮完備』
そりゃあもう、人が押し寄せた。
闇ギルドに入るより、工事現場で汗を流した方が遥かに稼げるし、安全だからだ。
さらに寮では、語学学校を開き、翻訳した教科書や娯楽小説(俺の前世の記憶)を配布した。
これは教育であり、一種のプロパガンダでもある。
「真っ当に生きる方が楽しい」と教え込むのだ。
◇
ある日、南大陸の有力な族長たちをショウタウンに招いた。
民族間でも言葉が通じないカオスな状況だったが、俺の【言語理解】スキルで同時通訳を行い、
なんとか意思疎通を図った。
俺は彼らを、鉄道の建設現場へ案内した。
そこで働く同胞たち(元・貧民)が、生き生きと電気工具を使いこなし、
族長たちに表敬訪問する姿を見せる。
さらに、電気の仕組みや、夜でも明るい街を見学させた。
「……これが、北の魔法(技術)か」
族長たちは驚愕し、固い握手を交わして帰っていった。
来年、ググレカス王国に正式な使者を送ることや、飛行船での定期航路の開設も締結された。
もちろん、その間も闇ギルドによる「テロっぽい妨害」はあった。
人材を奪われた彼らの、最後の悪あがきだ。
だが、それらは全て撃退された。
「……ふっ、他愛ない」
「バイト代入ったら焼肉行こうぜー」
警備のバイトで雇っていた勇者パーティ(安納チーム)だ。
かつて俺たちにボコボコにされた彼らも、実戦経験を積んで強くなった。
今や、闇ギルドの構成員程度なら指先一つでひねり潰せる。
お父さんは嬉しいぞ。
◇
本来なら5年かかる壮大な計画だった。
だが、高賃金と「未来を作る」という学びに目覚めた南の労働者たちは、恐ろしく優秀だった。
工期は大幅に短縮され、なんと1年で終わりそうになっている。
「……予算が余ったな」
「倍額投資して、駅ビルと魔除け結界を追加しよう」
俺とクレメンスは即決した。
開通予定日には、各駅停車だけでなく「快速電車」すら走れるダイヤが組まれた。
さらに、ショウタウンと王都の中間地点に、新たな都市を作る計画が持ち上がった。
政治や行政機能の一部を移転させる副都心だ。
命名権を持った第3王子レスバは、高らかに宣言した。
「この新都市の名は――**【アタオカ】**とする!」
「……やっぱりか」
アタオカ(頭おかしい)行政都市。
都市の中心には、巨大な飛行船ハブ空港【アタオカ国際空港】が建設された。
名前はアレだが、機能は近未来的だ。
こういうインフラ整備は、今のうちにやっておかないと後で揉めるからな。
アタオカの夜、ホテル・ニューアタオカ。
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