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異世界遁世  作者: 半防御 with G
ショウタウンと陰キャ互助会
20/50

第20話 新たな偉業を称えよう

ストックってなんだろうね。

余裕を持った投稿で、次はどうなるんだろうという期待感を導くのが

作者の妙だと聞いていたのに、俺も「どうなるんだろう」と思っている。

体調悪いのに。

ショウタウンの城内は、パニックに陥っていた。

王女が単身で乗り込んできたのだから無理もない。

畑作業をしていた領主パラレルが、泥だらけのまま緊急招集された。


「申し訳ありません、王女殿下。イチゴの収穫が始まりまして」

「……イチゴ? この季節に?」

「はい。ゾージルシ(魔王国)から耐寒性の苗が送られてきまして。ビニールハウス栽培です」

「……そう」


クレメンスは眩暈を覚えた。

王都では冬の果物など高級品だというのに、ここでは当たり前のように栽培されている。

この格差はなんだ。


街の発展を探っていくと、必ず一人の人物に行き着く。

パラレルが呼ぶ「師匠」という存在だ。

「その師匠とは、どちらに?」

「はい。この街の背後に聳える山脈に、大きな滝がありますね? 

あの滝の上に本店があり、そこにおられます」


パラレルは、師匠ショウから言われていたマニュアル通りに答えた。

『厄介そうな人が来たら、居場所を教えていい。どうせあの絶壁と滝を見て諦めるから』と。


ほう……あの上ねぇ」

クレメンスは窓の外、遥か高みにある滝を見上げて、ニヤリと笑った。



クレメンスは【龍前温泉】に来ていた。

露天風呂に浸かりながら、眼前の山脈を観察する。

どうやら人工の滝らしく、水量が調整されているようだ。

一部が凍結し、氷柱が美しい景観を作り出している。

「……これ、日光の『華厳の滝』じゃん」

彼女は確信した。

昼に食べた名物のジンギスカンもそうだ。

タレに漬け込んだ肉を、専用鍋で野菜と一緒に「焼く・煮る」スタイル。

あれは北海道名物『松尾〇ンギスカン』そのものだ。


「知れば知るほど、日本人の影が濃い……」

ウズウズが止まらない。

クレメンスは立ち上がった。



■ソルビトール商会・本店(滝の上)

この山は火山であり、地下にはマグマ、山頂には万年雪がある。

俺はこの温度差を利用できないかと模索中だった。


「氷を【転移】させて、夏場の村の真ん中に置けば、天然のクーラーにならないか?」

「おお、これあると助かるなぁ。今年の夏は暑そうだし」

「冬場は小さく砕いて、冷蔵庫代わりに各家庭に配るのもいい。安全だしな」


「それはいいですね」

 背後から、聞き慣れない女の声がした。

 振り返ると――

 崖の縁から、ボロボロの服を着て、両手に短剣を持った女が這い上がってきたところだった。


「……え?」

 どこから来た?

 まさか、あの凍った滝を登ってきたのか!?

 よく見れば、泥と雪にまみれているが、すげー美人だ。

 だが、その手には武器。殺気はないが、只者ではない。


「……戦う?」

「ノー、ノー、ノー」

 俺が炎を纏った槍(収納済み)を構えようとすると、女は首を振って短剣を収めた。

 敵意はないらしい。

 俺は【土魔法】で即席のテーブルと椅子を作り、熱いお茶を出し、収納からダウンコートを渡した。


「……コンスターチ、お前ならあそこ登れるか?」

「いや、人型なら無理だわ。爪が立たん」

「これは偉業だな。記念碑か銅像でも建てるか?」

「観光地化するか?」

「いや、誰も来ないって。タヒぬぞ」

 オッサン二人で盛り上がっていると、お茶を飲んで落ち着いた女が割り込んできた。


「……ここって、ソルビトール商会の本店ですよね」

「いかにも」

「この街の黒幕……いえ、凄腕の経営者がいると聞きましたが」

「こいつだよ」

コンスターチが俺を指差す。

女は俺をじっと見つめた。


「あなた、もしかして……転生前は日本人ですか?」

「えっ。……まあ、そうだよ。多摩あたりに住んでて、50歳でこっちに来たけど」

「多摩……ニュータウンの方かしら」


 女はふぅ、と息を吐き、姿勢を正した。

「私は転生前、赤羽に住んでて……今はググレカス王国の第1王女やってます、クレメンスです」

「赤羽! センベロの聖地じゃないですか。……え、王女様!?」

「ええ。単刀直入に言います」

 クレメンスは、俺の手をガシッと握った。

「結婚してください」

「……は?」


時間が止まった、気がした。

50歳・多摩のおっさんに、赤羽の王女様(物理Sランク)からの求婚。

また一つ、新たな厄介事が舞い込んできた。

第2章が終了ってことで、気軽に読んでて申し訳ないと思っております。

休憩が明けそうなのでここで切り上げますが、誠にありがとうございます。

双方にありがとうございます。

オッサンになったからかも知れんが、ありがたい。ありがたい。

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