第02話 ヤングは腹が減る
おじさんの密かな楽しみであります。その名も投稿。
もうパターンは出し尽されたとはいえ、ただ異世界で、へんなチート渡されて
生き残るにはどうしたらいいかということを考えたかった。
今日も山越えて職場に行くときに道路凍結でこけた。
マジで崖の前だった。
電車が嫌いだからといって、冬の原付は厳しい。
とりあえずの安全は確保された(気がする)。
だが、問題はライフライン、特に食料だ。
「……腹減ったな」
50歳の頃は、脂っこいものを見ると胃もたれしたものだが、今の肉体は13歳。代謝が良すぎる。
少し動いただけで、胃袋がブラックホールのように悲鳴を上げるのだ。
森を見渡せば、果実らしきものや、明らかに肉食獣っぽい気配はある。
しかし、俺には武器がない。
ステータス画面には【槍:国体レベル】とあった。
ならば、槍を作ればいい。
「よし、DIYの時間だ」
俺は収納空間に意識を向ける。
そこには、拠点づくりのために伐採した木材がストックされている。
本来、収納魔法とは「入れて、出す」だけのものだろう。
だが、俺の【収納:博士級】は、その概念を超えていた。
(イメージしろ。3Dデータのトリミングだ。不要な部分を削除……)
収納空間内で、丸太の周囲を「収納範囲外」として削ぎ落とす。
さらに、中心部を円筒状に「削除」して中空構造にする。
「……出力」
手元に現れたのは、表面がツルツルに加工され、中空で軽量化された、まっすぐな木の棒だった。
物理的に削ったわけではない。
空間座標の指定で物質を切り取ったのだ。
50歳の手習いで覚えたCADの知識が、こんなところで役に立つとは。
次は穂先だ。
一度行った場所に行ける【転移】魔法を使い、勇気を出して地上へ降りる。
河原で硬そうな石を拾うだけの簡単なお仕事……のはずが、すぐに魔物(狼のような獣)に囲まれた。
「ヒッ……!」
反射的に、天空の拠点(天井なし)へ転移して逃げ帰る。
心臓がバクバクしている。怖かった。
だが、同時に50歳の頑固さが頭をもたげる。
(俺の敷地(河原)で、よくも威嚇してくれたな……)
腹が立った俺は、卑怯な戦法に出た。
獣の背後に【転移】で出現し、石で殴る。
獣が振り向く前に、拠点の安全圏へ【転移】で離脱。
これを5回繰り返したところで、哀れな狼は動かなくなった。
川辺へ移動し、研磨した石器(これも収納魔法で加工済み)で血抜きと解体を行う。
グロテスクだが、生きるためだ。
「運がいいとか、悪いとか。……まぁ悪いんだろうな」
前世の流行歌を口ずさみながら、食えそうな部位をすべて収納する。
拠点に戻り、石を並べたカマドで肉を焼く。
着火は【火魔法(ライター級)】で十分だ。
焼けた肉にかぶりつく。
肉汁が溢れる。13歳の身体が歓喜する。
「……うまい。かも」
だが、何かが足りない。
塩だ。
圧倒的に塩分が足りない。
(海水を汲んできて、窯で煮詰めれば……いや、海がないじゃん)
地図アプリもないこの世界で、海を探すのは骨が折れる。
結論。やっぱり街に行くしかない。
◇
翌日からは、現代社会ではありえない肉体労働の日々だった。
石槍を使った武術の練習(身体が勝手に動く!)と、売り物になりそうな木材の加工・備蓄。
そして、遠距離攻撃の実験だ。
俺はビビりなので、接近戦はしたくない。
そこで【転移】を使った攻撃を考案した。
1.上空に【転移ゲートA】を開き、石を落とす。
2.その直下に【転移ゲートB】を開き、出口を【ゲートA】の上に繋げる。
3.石はAとBの間を永遠に落下し続け、重力加速度でとんでもない速度になる。
4.頃合いを見て、【ゲートB】の出口を敵に向ける。
名付けて『無限落下式レールガン』。
試しに森の岩に向かって発射してみた。
ドォォォォォン!!
轟音と共に、岩が粉砕された。
「……やばいものを見つけてしまった」
異世界2日目で、俺は戦略級兵器を開発してしまったらしい。
俺のMP(魔力)なら、これを50個同時に展開できる。
50連発の隕石爆撃だ。
これなら世界を獲れる……。
「いや、俺はただ、焼き肉に振る塩が欲しいだけなんだ」
虚しくなったので、封印指定スキルとした。
◇
翌朝、雨が降った。
天井のない天空の拠点は、大パニックだ。
「冷たっ!? 屋根! 屋根!」
売り物用に加工してあった板を並べ、隙間を【土魔法】でコーティング。
なんとか本降りになる前に、雨風をしのげる小屋が完成した。
だが、服はずぶ濡れだ。
俺は『無限落下式レールガン』の応用を思いつく。
濡れた服を、AとBのゲート間で無限に落下させ続けるのだ。
空気抵抗と風圧で、脱水機のように水が飛んでいくはず。
「……異世界に来てまで、俺は何をやっているんだろう」
必殺兵器でパンツを乾かしながら、俺はふて寝した。
雨上がり。
屋根の上に梯子をかけて登ると、遠くの方角に「街らしき影」が見えた。
空間魔法を使えば、空を飛んでひとっ飛びかもしれない。
だが、もし魔法が切れたら? 制御をミスったら? タヒりたくない。
いずれはやるとしても、今はまだだ。
俺は地道な作戦を採用した。
枝を加工して目印の「杭」を作る。
地上に降りて進めるところまで進み、杭を刺す。
何かあったら即座に拠点へ【転移】で逃げ帰る。
休憩したら、またその杭の場所へ【転移】して、続きを進む。
名付けて『セーブポイント戦法』。
何ヶ月かかるか分からないが、これなら安全確実に街へたどり着ける。
「待ってろよ、塩」
粗野な肉はたくさんある。
塩味の効いた焼き肉を夢見て、50歳の少年の旅が始まった。
もう感謝しかないですわ。つたないオッサンの文章をGeminiというチートで清書したけども
大切な時間を消費して読んでいた事に、誠にありがとうございます。
おっさんの妄想は続きます。
nano banana挿絵の挿絵が上手く制御できていません。
存在しないものを描かせているので仕方ないですが。




