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異世界遁世  作者: 半防御 with G
ショウタウンと陰キャ互助会
16/50

第16話 秘密を守るのは難しい

山田うどん食堂のそばが好きだ。

以前、袋を破って茹でているところをみたが好きだ。

バイトで働けば、半額で食えるのでちょっと考えている。

パンチも好きだし。

ただ、近くの山田うどんが8km先にある。

雨の日、原付で通うのがつらい。

ソルビトール商会・ショウタウン支店のはす向かい。

その地下に、我らが秘密結社「互助会」の拠点が完成した。  

だが、入口には既にきらびやかなスタンド花が飾られていた。


『祝・開店! 秘密倶楽部・互助会様へ コンスターチより』

……バカか、あいつは。  

龍の里への配送業務ばかりさせていたから、こちらの事情(隠密行動)を知らんのだろう。  

秘密を守るのは難しい。



ダンジョンでの定期素材回収(&テレワーク)を終え、俺は地下への階段を下りた。  

扉を開けると、そこは完全に日本の「居酒屋」だった。

「へい、らっしゃい!」

威勢のいい声で迎えてくれたのは、マスターのジャガだ。  

カウンターの中で、見事な手つきで刺し身の「舟盛り」を作っている。

元看板描きの芸術センスがこんなところで活きている。


客席には、揚げたパスタ(塩味)をポリポリ齧りながら、

レモンサワーで出来上がっているフルトがいる。  

ここは〇民か? それとも笑〇か?  

テーブル席では、チークワンブーが真剣な顔で地図を広げ、ショウタウンへの引っ越し先を探していた。  

なお、エンジニアのゴボテンは、荷物をまとめるために一時帰国中だ。


「……フルトよ、仕事は?」

「ウィ~……俺ぁ、この都市と龍族の関係を調査するために潜入してるんすよぉ。

酒も経費(税金)で落ちるから平気ですって」

ダメだこいつ。  

チークワンブーが呆れた顔で地図を見つめている。


「知ってます? あの『ギルガメッシュ・ライト』のバックには、龍族がいるらしいっすよ」

「ほう」

「ファミマって社長が怪しいんすけど、さらにその裏に……繁栄をもたらした『謎の人間』が

住み着いたって噂でぇ……」

 鋭い。

酔っ払っている割に、核心に迫っている。  

その時だった。


コツ、コツ、コツ……。  

階段を降りてくる、軽快なヒールの音が響いた。

「へい、らっしゃ……い?」

ジャガの声が裏返る。  

扉を開けて入ってきたのは、ビシッとしたスーツ姿の美女。片手には高級そうなケーキの箱。  

ファミマだった。


「ショウいる~? 美容液の原料が切れかかってて」

一瞬、室内が凍り付いた。  

世界的企業のトップが、こんな地下の怪しい店に降臨したのだ。


「……お前なぁ。ここは会員制の『秘密』倶楽部だって言ったろ」

「ずるいじゃん。ショウは1階(龍族専用VIPサロン)にも入れるのに、

私がここに入れないなんて不公平よ」

ファミマが頬を膨らませる。  

すると、チークワンブーが眼鏡を光らせた。

「……入会、OKです」

「おい!」

オーナー(俺)の意向を無視して承認された。  


ファミマは興味津々でカウンターを覗き込む。

「あ、これがお刺身? すごいキレイ! ねえ、これ1階のサロンでも食べたい」

「デリバリーします!」

「やったぁ!」

ジャガが即答した。  

脆くも秘密倶楽部は崩壊した。


「……ファミマさんは、創業者であり、龍族の王女なんですね?」

ジャガが恐る恐る聞く。  

ファミマはケーキの箱を俺に押し付けながら、満面の笑みで答えた。

「そうよ。そしてショウは私の……だ・ん・な・さ・ま。キャッ!」

ぶほっ!  

フルトがレモンサワーを吹き出した。  

魔族のスパイの前で、国家機密が垂れ流されていく。


「ショウは世界一の魔法使いなの。私、負けちゃったし。魔法だけじゃないわ。

商会だって、この街の発展だって、全部ショウの賜物よ!」

「……え?」


 チークワンブーがバッと立ち上がり、俺を指差した。

「……お前だったのか!!」

見た目15歳(中身50歳)の少年が、この街の黒幕であり、日本文化の伝道師。  

点と線が繋がった瞬間だった。


そして、もう一人。  

フルトがゆっくりと立ち上がり、出口へと歩き出した。

「おいフルト、どこ行くんだ」

「いやぁ~、仕事(調査)が終わったんで。本国に帰って魔王様に報告しようかなって」

「待て待て待て! 座れ! ステイ!」

俺は慌ててフルトの襟首を掴んだ。  

こんな情報が魔族に渡ったら、俺の「隠遁生活」は終了だ。

魔王軍が総出で攻めてくるか、ヘッドハンティングに来る未来しか見えない。


「……店じまいだ」

俺はため息をついた。  

秘密倶楽部、のちの「個室居酒屋・互助会」は、本日の営業を終了する。


「全員、本店(龍の山)へ移動だ。……会長ソルビトールを交えて、じっくり話そうか」

俺たちは【転移門】をくぐり、逃げ場のない龍の巣へと移動することになった。

まず、魔族とは何かを考えたい。

魔族 - ピクシブ百科事典

魔物や悪魔など「魔」に属するものをひとくくりにした創作用語。

魔法が使えれば、魔族になるとしたら、龍族も魔族になるのではないか?

ソーセージは、ひき肉を皮に詰めた「総称」で、ウィンナーは羊の腸に太さが20mm未満のものだ。

つまり、魔族はソーセージで、龍族はウィンナー。

そう、みんな仲間だ!

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