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異世界遁世  作者: 半防御 with G
ショウタウンと陰キャ互助会
15/50

第15話 転生前日本人の探し方(チークワンブー視点)

2月も中旬となり、寒い日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。

職場まで原付で山を越えるので、両脇の下にカイロを張り付けております。

アフリカの都市では有馬温泉。

血流を温め全身にまわすだけではなく、内容物の炭の脱臭にも期待しております。

加齢臭をカット!きっとカット!

独り身の気楽さか、あるいは積年の孤独がそうさせたのか。  

チークワンブー(元・森考和)は、モレシャン共和国のパン屋を売却し、

このショウタウンへとやってきた。  

堅実な数学者だった前世の自分なら、こんなギャンブルは絶対に否定しただろう。  

だが、やってしまった。


「……まずは黒幕を突き止めなければな。何年かかったとしても」

 この街に来て驚いたのは、あまりにも「日本っぽい」ことだ。  

街中を走る定時運行の乗合馬車、公衆トイレにはシャワー完備、交番ポリスボックス

そして峠の茶屋。  

俺が契約した宿は『ライオンパレス』というマンスリー借家だった。

家具・家電(魔道具)付きで、敷金礼金ゼロ。壁が薄いのが玉に瑕だが、懐かしさすら感じる。

荷物を置いた俺は、まず観光に出ることにした。  

ガイドブックには「ジンギスカンと温泉が名物」とある。  

北海道かここは。



街の中心地から、麓の温泉地までは定期馬車が出ていた。  

俺が乗ったのは「貸し切り大型観光馬車」。

ガイドのお姉さんが漫談で楽しませてくれるオプション付きだ。  

約1時間で【龍前りゅうぜん温泉】に到着した。


そこは、湯けむりに包まれた天国だった。  

足湯では、エルフやドワーフ、獣人たちが並んで温泉まんじゅうを食っている。  

パンフレットによれば、打たせ湯、壺湯、薬草湯、そしてサウナまで完備しているとか。

俺は迷わず露天風呂へと向かった。  

当然、男湯だ。

家族風呂はあるが、混浴はない。

そこだけは異世界ファンタジーではなく、日本のコンプライアンスが適用されているらしい。


ザブン……。  肩まで湯に浸かる。

「……ふぅ」

目の前には、龍族が住むと言われる山脈の絶景が広がっている。

最近できたという人工的な滝も、幻想的な雰囲気を醸し出していた。


異世界に来て30年。  

「俺がこの世界を席巻してみせる」と意気込んだ日もあった。  

だが、現実は厳しかった。

言葉は通じても、意思が通じない。

現地の脳筋どもには「ルールを守る」「契約を履行する」という概念が希薄だったのだ。  

絶対的な武力や権力がなければ、経済システムの構築など砂上の楼閣。

だからこそ、あの『ギルガメッシュ・ライト』には恐ろしさを感じる。  

あれだけの規模で、秩序ある世界企業を作り上げているのだから。


「……いかんな。初日から気を張りすぎている」

俺は自分を宥めた。長期戦だ。

まずはリラックスしよう。  

湯を手ですくい、成分を分析する。

「ナトリウム塩化物泉か。ここら辺はケイ素鉱脈もあるから……美白効果が高いな。

だから『白い皿』と『エステ』か。出来すぎ君だろ」

あまりの完成度の高さに、もうここに移住してもいいような気がしてきた。  

気分が良くなり、つい口をついて出た。


「ババンバ、バン、バン、バン♪」

 昭和の土曜8時、国民的コント番組のエンディングテーマだ。


「「「ア~、ビバノンノン♪」」」

 !?  湯けむりの向こう、あちこちから合いの手が聞こえた。  

幻聴ではない。  

を凝らすと、4人の男たちが湯船を割って近づいてくるのが見えた。


「おぉ、まさかここで日本人と会えるとは」

「奇遇だねぇ」

「マジか、すげーなぁ。ここ異世界だぞ?」

「出会いに感謝だね」


見た目は東洋人っぽくない。

エルフだったり、厳つい大男だったりする。  

だが、その魂は間違いなく同郷だ。  

俺たちは無言で頷き合い、風呂上がりに大広間で再会することを誓った。



風呂上がり、大広間の座敷にて。  

俺たちは瓶牛乳(コーヒー味)を片手に車座になっていた。


1人目、ショウ。  

見た目は15歳の少年だが、中身は50歳。

併設の研修センターに原料卸売り業者として来ていたらしい。彼がこの場のまとめ役のようだ。


2人目、ゴボテン(元・松下ソニ雄)。  

機械工。魔道具に詳しいエンジニアだ。


3人目、ジャガ(元・岡本キヨシ)。  

チャラい。見た目は若いが話が上手く、場の空気を和ませるのが得意な「いいやつ」。


4人目、フルト・フラン。  

見た目は魔族。どうやら彼も転生者らしいが……。

「ウィ~……俺ぇ、実は魔王軍のスパイなんすよぉ~」

「おい、バラしていいのか?」

「ここだけの話っすよぉ。魔王とかマジブラックでぇ~」

フルトは酔っ払って、国家機密や自分の素性をベラベラと喋り出した。  

俺とショウで必死に宥める。

こいつ、口が軽すぎる。



この縁は大事にしたい。  

誰からともなくそんな話になり、俺たちは名刺交換(といっても紙切れに書いただけだが)をした。

そして、ショウの提案で、定期的に会える場所を作ることになった。


「ショウタウンに、龍族専用の会員制バーがあるんだ。

人間は近寄らないから安全だ。そこの地下を使おう」

 場所は一等地だが、地下店舗ということで賃料は安いらしい。

いわゆる「大戸屋方式」だ。


「マスターは誰がやる?」

「俺、金ないんで……住み込みでいいならやりたいっす」

手を挙げたのはジャガだった。  

彼は以前、酒絡みのトラブル(樽詰め漂流刑)でトラウマを負っており、一滴も酒を飲まないという。  下戸のバーテンダー。  

酔って口を滑らす心配もないし、適任だろう。


こうして、異世界に疲れた元日本人たちによる秘密倶楽部――通称【互助会】が結成された。

仲間にエルフといかつい大男がいるそうな。

Geminiよ。設定追加するな!

ならばmエルフはモテ男のジャガ。

大男は魔族のフルトか。

フランクにしようとしたが、フランスじゃないし、永井でもない。

こいつだけ目的違うし、いいか。

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