表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界遁世  作者: 半防御 with G
ショウタウンと陰キャ互助会
14/40

第14話 春の女王と白いもの

100円ショップで爪切りを買うのだ!

と思っていて2か月が経った。

なぜだ、その間にウエットティッシュは買い続けているというのに。

きっとショップ入口に”爪切り忘れろ電波”を発射しているのだろう。

恐ろしき世の中よ。

アマゾンで買うか。

ショウタウンの領主・パラレルには、密かに想いを寄せる少女がいた。

ガラス職人の娘・カーコだ。

彼女はパラレルが病弱だった頃、献身的に世話をしてくれた幼馴染であり、歌が上手く、

そして......実家が頑固なガラス工房だった。

領主となったパラレルは、恩返しのために彼女の父の工房へ大量発注を行った。

この街の特産品として、軽くて丈夫な「白いガラス皿」を売り出そうとしたのだ。

だが、慣れない事務仕事で、発注書の桁を2つ間違えてしまった。

10000枚のつもりが、1000000枚。

そりゃあ、頑固オヤジも泣きながら「一生ついていきます!」と感謝するわけだ。


「......どうしよう、師匠(ショウ)

「金ならあるだろ? 俺がやったドラゴンのウロコ売れば?」

「金の問題じゃないんです! 城の倉庫が皿で埋め尽くされて、物理的に寝る場所がないんです!」

パラレルが頭を抱えていると、城門の方から騒がしい声が聞こえた。



パラレルの姉・シリアルもまた、人生の岐路に立っていた。

彼女はかつて、村の羊毛を売り込むために王都の協会で働いていた。

画期的なマーケティング戦略で収益を5倍にしたものの、出る杭は打たれるのが世の常。

古参の理事たちに疎まれ、閑職に追いやられていたのだ。

そんな彼女を救ったのが、彗星のごとく現れた「ファミマ・ビューティ」だった。

これまで「光魔法=修道院」という常識を覆し、エステティシャンという新たな職域を開拓した

カリスマ・ファミマ。

シリアルはその手腕を買われ、管理会社の事務局長としてヘッドハンティングされた。

だが、そのカリスマが「飽きた」と言い出した。

解散の危機だ。

シリアルは踏ん張った。ここで終わらせてなるものか。

彼女は新たなビューティーネットワークを築くため、自身の故郷に近い新興都市「ショウタウン」で、

大規模な研修と総決起集会を企画した。

「最近、我がFCの名を語る偽物も増えている......。本物の証となる『シンボル』が必要ね」


そう意気込んで帰郷した彼女だったが、呆然と立ち尽くした。

実家の村が、消えていたのだ。

代わりにあったのは、巨大な城塞都市。


「な、なによこれ......!?」

パニックになりながら領主城を訪ねると、そこには立派な服を着た弟がいた。

「あ、姉さん? 久しぶり」

「パ、パラレル!? あんた子爵になったの!?」

姉弟の再会は衝撃的だった。

ずっとタヒにそうだった弟が都市の長になっている。

「世界企業のCEOって、やっぱり姉さんすげぇや」

「い、いや......あんたの方が凄いでしょ......」

お互いを称え合う中、パラレルが深刻な顔で倉庫を指差した。

「......姉さん、経営のプロとして助けてほしい。あれを(さば)かないといけないんだ」

そこには、山のように積まれた「白い皿」があった。



数日後。 ショウタウンの大広場は、異様な熱気に包まれていた。

ステージには「ギルガメッシュ・ライト生誕祭」の横断幕。

そして中央には、イメージガールのファミマが立っている。

「皆さん、世界をビューティーにしましょう!」

ファミマの声が響く。観客のボルテージが上がる。

「今、会員登録していただくと......なんと!この『白いお皿』をプレゼント!」

「「「おおおおお!!」」」

ファミマが手に持ったのは、カーコ父の工房で作られた強化ガラス製の皿。

白く、滑らかで、割れにくい。

彼女はそれを顔の横に添え、ニッコリと微笑んでポーズを決めた。

「ギルライだけの、オ・リ・ジ・ナ・ル。......春のパンならぬ、春のファン祭りよ!」

最後に彼女は、謎の決め台詞を叫んだ。

「ギルガーメッシュ!」 「「「ライトーーーッ!!」」」

従業員と観客が熱狂の渦に巻き込まれる中、観客席の端にいた男が震えていた。

パン屋のチークワンブーだ。

「......間違いない」


彼は眼鏡の位置を直しながら、ステージ上のファミマ(と白い皿)を見つめた。

「あの白い皿......。そしてシールを集めて皿を貰うという、あのシステム......。

あれは日本だ。俺たちの『春のパン祭り』だ......!」

パン屋である彼にとって、それは神聖な儀式にも等しい。

彼は確信した。

この街の裏には、間違いなく同郷の「誰か」がいると。

あるフランス都市の経済を支えているという白い皿。

スーパーでバイトしているとき、裏に大量の皿があったことを覚えている。

で、相当余った。

あれは回収されるが、どうしているのだろうか?

溶かして新たな皿に転生しているのではないか?

ん~リサイクル。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ