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異世界遁世  作者: 半防御 with G
ショウタウンと陰キャ互助会
13/40

第13話 日本人を震わせるテレ東

シーズン的に閑職に追い込まれております。

もう今期は作業がないことをいいことに書いております。

寒さのせいか指先が動かんのです。

なのでB1・B12のビタミン剤を発注。

量産体制突入なのであります。

もう一つのバブルが、静かに終焉しようとしていた。  

ファミマの、ファミマによる、ファミマ・ビューティ・ホールディングスからの電撃退任だ。  

理由は「飽きたから」。  

新経営者は新たな経営基盤として、各店舗を独立採算のフランチャイズ(加盟店)方式に

切り替えるという。


「光魔法のヒール(治癒)効果と、名付け親の一発ギャグから名前を付けたの」

ファミマが新しい看板のデザイン画を見せてくる。

「その名付け親の王様って、どんな人なのさ?」

「髭のおじいちゃんだったよ。名前は確か……モリシゲ、ヒ・サ……」

「……うん、後半は聞こえなかったことにする」

昭和の喜劇王の名前が聞こえた気がしたが、気にしないことにした。


翌日、全世界に衝撃が走った。  

各国の人気エステサロンが一斉に看板を架け替え、大々的に宣伝し始めたのだ。  

実店舗を持たずとも、大手の看板とノウハウを背負って商売ができる画期的なシステム。  

俺がポロっと漏らした現代知識が、こんな形で世界を席巻するとは。

広告塔のファミマ本人は「飽きた」と言って山でゴロゴロしているが、世界はそうはいかない。

ギルドですら運営はグダグダなのに、彼女が作った組織は世界を管理し始めている。  

そのグループ名は――

 『ギルガメッシュ・ライト』


……完全に深夜番組だ。  

飯島〇もびっくりだ。  

ライト(光)で、女性を癒やす。

意味は通っているが、これを見て「反応」してしまうのは、俺と同じ時代を生きたオッサンだけだろう。



■モレシャン共和国

この国では、硬い皮のパンが主食だ。  

街の片隅にあるパン屋の店主、チークワンブー(転生前:森 考和・40歳)は、表面積を増やして

食感を良くした「モレシャンパン」を考案し、細々と暮らしていた。


彼は元々、パン屋ではなかった。  

前世では数学者であり、美しい数式で世界の経済を読み解くフィナンシャルグループの

設立を夢見ていた。  

だが、この国には「特許」も「著作権」もない。  

彼の発明はすぐに模倣され、資本家に奪われた。  

今はただ、「元祖」という看板だけを頼りに、粉にまみれる毎日だ。

「……はぁ。美しいレトリックも、ここでは無意味か」

ふと、風に舞ってきたチラシが足元に張り付いた。  

そこには、見覚えのあるフォントと、懐かしい響きの言葉が踊っていた。

『ギルガメッシュ・ライト、加盟店募集』

「……ギルガメ? まさか、テ〇東か?」

彼の眼鏡の奥の瞳が、数十年ぶりに輝いた。



■エリカトラウデ連邦

工業地帯の路地裏で、油まみれの男が作業をしていた。  

彼の名はゴボテン(転生前:松下 ソニ雄・35歳)。  

かつて彼は、腸詰肉ソーセージを均等に加熱する画期的な魔道具「ローラー式ヒーター」を発明し、

コンビニ文化に革命を起こした……はずだった。

だが、あえなく商会を乗っ取られ、今はその子会社で「修理工」としてこき使われている。  

浮かれ気分でロックンロールだった自分を反省する毎日だ。  

まだ若いつもりだが、過労で顔色は土気色。バツイチ。  

終わらない仕事。薄利多売な毎日。  

ここはブラックではない、グレーだと言い聞かせているが、身体は正直だ。

「……多色刷り印刷機の修理、完了と」

試し刷りで出てきた紙を手に取る。  

それは、人気エステ店のリニューアルオープンのお知らせだった。

『光を、あなたに。ギルガメッシュ・ライト』

「……こんな俺に、光なんてあるのか。イジリーよ!」

彼はそのチラシを、作業着のポケットにねじ込んだ。



■サンスコン自治領

芸術の都パニーニから、大陸違う未開の大地。  

この港で、一人の絵描きが看板を描いていた。  

名はジャガ(転生前:岡本 キヨシ・36歳)。  

前世では同人作家としてコミケの壁サークルを目指していたが、、、


異世界転生後、彼はその願望リビドーを爆発させた。  

「芸術は爆発だ!」と叫びながらナンパを繰り返し、まさかギャングの娘とは知らずに

手を出してしまった。  

結果、酒樽に詰められて海に投げ捨てられるという「東京湾スタイル」の刑を受け、

何日も漂流した末に、この港の漁師に拾われたのだ。


「生きてるだけで丸儲けや!」

以来、彼は反省し、地元の看板描きとして真面目に生きている。  

そんな彼のもとに、お世話になった漁師のおかみさんがやってきた。

「ジャガさんや、娘が店を開くんだけど、看板のデザインを頼めないかねぇ?」

「へい、喜んで! 何のお店で?」

「エステよ。なんでも『ギルガメッシュ・ライト』っていうチェーン店で研修を受けるから、

あんたも護衛として本店までついてきておくれ」


「……ギルガメッシュ?」

ジャガの筆が止まる。  

その言葉は、彼の青春(深夜のHな番組)そのものだった。

「へい、行きやす! 手は出しやせんよ、たぶん!」

こうして、世界各地に散らばっていた「負け組」転生者たちが、

一つの「光」に吸い寄せられようとしていた。

かつてオリンピック開会式をも超えた、テレ東の深夜番組。

現代に受け継げないことが先人として悲しい。

テレビ文化の停滞ということか、ネット社会の洗礼なのだろう。

なにがキラーコンテンツなのか、太古の昔からわかっているだろう。

いいのか、それでいいのかテレ東よ!

と、いってみたりして。

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