第12話 バブルは弾けるためにある
普段ならば、お茶を飲みながら電話対応する簡単な仕事なわけで、
5話ぐらい書き進めてやろうかなと企んでいたが、
バッカスカ電話がかかってきたし、ゲストだらけで対応せざるおえず、
Wワークが51歳の体力を蝕むとは盲点だった。
体力は削られるが、ストレスが創作の源しずかなので、明日はモアベタァよ。
ファミマの美容事業が大きくなりすぎたため、支店ごとに独立採算制をとらせることにした。
俺の商会は「登録料」と「広告塔(ファミマの肖像権)」の管理だけに移行中だ。
世界的企業の経営なんて、真っ平ごめんだ。
目立つし、評価として「いいね(ライク)」も「誹謗中傷」も、
50歳の心臓には負担が大きすぎる。
さて、そんなファミマ・ビューティの龍の里支店は、現在「生え変わり時期」で大繁盛中らしい。
生え変わり?
そう、ウロコだ。
犬の換毛期のように、ドラゴンも季節の変わり目にウロコが落ちるらしい。
俺はファミマに許可を得て、その「ゴミ」を回収させてもらった。
◇
■ショウタウン・冒険者ギルド
元パーティメンバーのヨークマは、「買取係副補佐」という何とも微妙な出世をしていた。
窓口で暇そうに欠伸をしている彼を、喫茶室に呼び出した。
「……なんすか、セイコマさん」
ヨークマが不機嫌そうにコーヒーを啜る。
無理もない。
何度かダンジョン内に彼を置き去りにして(俺だけ転移で帰って)しまったので、相当恨まれている。
「いや、悪いと思ってるよ。で、これなんだけどさ」
俺は【収納魔法】から、とある物体を取り出し、テーブルにドンと置いた。
宅配ピザのLサイズくらいの、黒光りする円盤だ。
「……は?」
「買い取れる?」
「あ、嘘だぁ。これ……え、本物? 質感がおかしい……ミスリルより硬いぞ?」
ヨークマの目が点になる。
俺が龍族王家の関係者であることを思い出し、納得と恐怖が同時に来たようだ。
「……これ、一枚で城が買えますよ」
「マジか」
我が商会でも取り扱いたいが、龍の里の連中にとっては「自分の切った爪」を売るような感覚らしい。
価値があるとしても、自分たちの店に並べるのは生理的に嫌だという。
「じゃあさ、これと交換で酒を頼むわ。美味いとこ知ってるだろ?」
「酒? 金貨じゃなくて?」
ヨークマは呆れつつも、すぐに手配してくれた。
結果、このピザ一枚で、最高級のヴィンテージワインが10樽届いた。
それでもヨークマは「安く買い叩いてしまった」と涼しい顔をしているので、
市場価値はさらに上なのだろう。
俺はこのコネクションを利用することにした。
他にも武器への加工ルートや、街の情報が欲しい。
結果、ヨークマはギルド長の特命により「龍族担当長」という、
大臣クラスのポストへ異例の3階級特進を果たした。
さらに、俺は彼に元村長と、現領主の息子を紹介した。
本店(龍の山)へ行き来できる転移パスも渡した。
もちろん、「悪用したら南の孤島へ片道転移させる」という脅し文句と共に。
◇
こうして、龍の鱗ビジネスが始まったわけだが……俺はすぐにブレーキを踏んだ。
「……バブルだ」
俺の脳裏に、前世の記憶が蘇る。
ジャパンマネーが世界を席巻したあの頃。
意味もなくアメリカの有名なビルを買い、南極で映画のロケを行い、
タクシーを止めるのに万札を振っていた狂乱の時代。
そしてその後に訪れた、「失われた30年」という地獄。
(……一気に市場に流せば、価格は大暴落し、経済は破綻する)
緊急会議が開かれた。
メンバーは俺、前龍王ソルビトール、そして新任担当長のヨークマだ。
「……というわけで、供給制限を行います」
「えっ、もったいない!」
「ヨークマ君、君はバブル崩壊の恐ろしさを知らないんだ」
俺は力説した。
本気を出せば世界征服(ロス〇ャイルド家)ごっこも可能だが、そんな修羅の道は歩みたくない。
結論として、回収したウロコの9割は「内部留保」として倉庫に眠らせることにした。
ソルビトール曰く、「時間をかけて熟成させ、鼈甲色になったウロコはさらに
魔力を帯びる」らしい。
酒の熟成と同じだ。
【黒魔法】で時間を進めればすぐに作れるが、あえてやらない。
ゆっくりと、市場価格を調整しながら流す。
「資本主義をエンジョイするとは、我慢することなんじゃよ」
ソルビトールが美味そうに酒を飲む。
こうして、ソルビトール商会は「世界一リッチだが、世界一財布の紐が固い企業」として
裏社会に君臨することになった。
ちなみに最近、街では「うどんVSそば」論争ならぬ、
「そうめんVSひやむぎ」の乱が勃発しているらしいが、それはまた別のお話。
今回は、経済の話ばかりの「つなぎ回」になってしまったな。
小麦だけに。
35Pである。
ライブを見ながら投稿しようと始まるまで待っていたが、いきなり中止になっていた。
それに気が付かず3時間ロス・インディオス。
生きるってなかなかうまくいかないものですなぁ
全話構成しているのだが、途中で勉強しないとわからん箇所が待ち受けている。
なんで自分を追い込むシナリオ組み込んでしまったのだろうか。現実ツライ




