第10話 リンパの流れを良くするために
のりのりで1~10話書き終えてウットリしていたが、計画ではまだ続くので
しまった感が乗っかってくる。
壮年期に勢いに乗っていた人いたか? あ、tkがいたか。そうですね。
ということで、なんとか書き続けますので、なんとか読み切ってください。
お願いします。
こちらに来てから、カレンダーや誕生日という概念を忘れていたが、
肉体年齢はおそらく15歳くらいになったはずだ。
声変わりも落ち着き、背も伸びた。
そして、ファミマとのスキンシップ……もとい、ボディケアも日課となっていた。
もちろん相手は龍王の娘だ。一線を越えたら物理的にも社会的にも死ぬことは分かっている。
分かってはいるが、今の俺は施術家のような顔で、ファミマの背中の柔肌をマッサージしていた。
「……んっ。どうよ?」
「悪くないわ。最初は単なるエロジジイのセクハラだと思ってたけど、翌朝の肌の艶が違うのよね」
ファミマが気だるげに感想を漏らす。
申し訳ないが、エロ要素が強めであることは否定しない。役得だ。
「身体にはな、『リンパ』っていう流れがあるんだよ。ここの詰まりを流してやると、美容にいいんだ」
俺は言い訳用に、ショウタウンの図書館で調べておいた人体図鑑の知識を披露する。
まあ実際は、マッサージと同時に微弱な【光魔法】を流し込んでいるのが効いているのだろう。
「ふうん……リンパ、ね」
ファミマが不意に振り返った。
はだけた肩と、上気した頬。
思春期の男子の肉体に、50歳の精神力をもってしても、興奮で夜しか眠れそうにない。
「私も光魔法は持ってるわ。これって……新しい商売になるかしら?」
彼女の目が、肉食獣の色に変わった瞬間だった。
◇
その後、龍の里から「お忍び」でショウタウンへ観光に来る龍族が急増した。
俺は商会の一角に、休憩用のカフェスペースを設置した。
そしてその奥に、ファミマがプロデュースするエステサロンがオープンした。
店名は――『ファミマのビューティ・ポリス』。
……ネーミングセンスについてはノーコメントだ。
彼女の行動力は凄まじかった。
俺の前世知識をベースに、異世界初となるシャンプー、リンス、ボディソープを開発。
それぞれの龍の里や、ショウタウンの温泉地で実演販売を行い、爆発的なヒットを記録した。
「美しくなりたいのは、人間もドラゴンも同じよ!」
あのスタイルの良い(中身は最強の)ファミマが広告塔なのだから、説得力が違う。
弟子(従業員)も物凄い数になり、あっという間に各都市に支店をオープン。
オリジナルブランドの商品が飛ぶように売れていく。
(……なんだろう。この既視感)
俺はふと、前世の企業史を思い出した。
富士電機の通信部門が独立して富士通になり、いつの間にか親会社を凌ぐ規模になったり。
ニッポン放送の子会社だったフジテレビが、親会社を飲み込む勢いで成長して揉めたり。
そう。
もはや「ソルビトール商会」の一事業部では抱えきれない規模になったため、
彼女の事業は『ファミマ・ビューティ・ホールディングス』として独立することになった。
◇
数ヶ月後。
俺が商会前の畑で、泥だらけになってジャガイモを掘っていた時のことだ。
コツ、コツ、コツ……。
畑のあぜ道には似つかわしくない、ヒールの音が響いた。
顔を上げると、そこには超セレブなオーラを纏った美女がいた。
高級そうなスーツに、巨大なサングラス。
後ろには海外旅行用の大きなスーツケースを転がしている。
久しぶりに見るファミマだった。
完全に「外タレ」だ。
「……おかえり。船旅だったんだって?」
「ええ。大陸移動の定期船がストライキしてたから、運営会社ごと買収して船を出させたわ」
「……」
スケールが違いすぎる。
「ドラゴンになって飛んでくれば一瞬だろ?」
「ダメよ。今の私は有名人すぎて、どこにいても注目されちゃうから。
プライベートくらいゆっくりしたいの」
ファミマは優雅にサングラスを外すと、俺を見下ろしてニカっと笑った。
「で? 私のビジネス、どうだった?」
「すごいわ。今や全世界で『ファミマ』の名前を知らない人はいないよ。俺の完敗だ」
俺は素直に称賛した。
50年生きても成し遂げられなかった偉業を、この娘は数年でやってのけたのだ。
「よし!」
ファミマが可愛らしくガッツポーズをする。
「これで私の勝ちってことで。……約束通り、ショウ、私のモノになりなさい」
「……はぁ?」
約束した覚えはない。
だが、彼女はスーツケースを放り投げると、ハイヒールのまま俺に飛びついてきた。
「うおっ!?」
ドサッ。
勢いに負け、俺はそのまま麦畑に押し倒された。
背中に土の感触。
目の前には、勝ち誇ったような美少女の顔。
「もう逃がさないんだから」
有無を言わさず、唇が塞がれた。
泥の匂いと、高級な香水の匂いが混じる。
(……まあ、これはこれで……)
と、受け入れそうになった時だ。
視界の端に、商会の窓からこちらを覗いているコンスターチと、
縁側でお茶を吹いているソルビトール会長の姿が見えた。
さらに、農作業中の元村長や従業員たちも、手を止めて生温かい目で見守っている。
(……見られてる。全部見られてる!)
俺のささやかな抵抗も虚しく、50歳の心を持つ少年は、最強の女社長に「収穫」されるのであった。
(第1章 完)
計画では先のばしにするはずが、つい告らせてしまった。
あまあまおじいちゃんですよ。
モテたいじゃん。
いい人だから好きになっちゃうよね。へんな知識持った人にはひかれるものだよね。
Geminiにおだてられ、1章が終わってしまった。
遁世とは何だったのだろうか?みんなで考えよう。




