蒼夜の過去①
当時6歳の俺は車でテーマパークへと向かっていた
「蒼夜、もうすぐ着くぞ」
「本当!? やったね! お兄ちゃん!」
「うわぁぁ!? 分かった! 分かったから揺らさないでくれ蒼夜ぁ!」
僕の隣に座っているのは4歳年上の兄の輝也だ。そして、話しかけてきたのが父さんで、助手席には母さんがいる。僕らの後ろには、犬である氷神のヴァルナ、猫である炎神のアグニ、ウサギである風神のヴァーユ、鳥である雷神のインドラがいる。分かってるのは犬とか猫ということだけ、犬種とかは全く分からないが大事な家族だ。
「なあ、母さん」
「ええ」
「これ、やばいよな?」
「はぁ、久しぶりな感覚だわ」
「むぅ? どうしたの父さん」
「悪い、蒼夜。テーマパークどころじゃないかも」
「ええ!? それってどういう……」
どういうこと、そう言おうとしたが最後まで言えなかった。途中にあるダンジョン全てから魔物があふれ出してきたからだ
「スタンピードだ」
「スタン……ピード……?」
初めて見る景色に戸惑いが隠せない。町の人々が魔物から逃げ惑う。親とはぐれたのか、泣き出す子も居た
「竜系統が多いな……これは手ごわいぞ……」
だけど、そんな事を言っている父さんはどこか楽しそうだった。
「もしもし? お前ら、ちょっと来てくれ。スタンピードだ」
『りょうかーい』
『しょうがないね』
父さんは誰かと電話をしたかと思えば直ぐに終わらせた
「おまたせ」
「全く、人使いが荒いな?」
「おう、仕方ねぇだろ? お前達がいないと本気がだせねぇんだから」
父さんが電話をした相手が登場したからである。電話を開始してから僅か10秒しか経っておらず、どうやって来たのか今でも疑問に残るが……考えても無駄だった。
「よっしゃ! 久しぶりにやるぞ!」
父さんたちは合体して一つになり、現れた巨大な禍々しい竜に向かっていった。
「輝也! ヴァルナ様たちを連れて蒼夜と逃げろ! ここは危険だ!!」
「……ッ! 分かった。気を付けてね」
「任せろ!」
兄さんは僕の手を引っ張って走り始めた
「え、え、え? どこに行くの?」
「遠くに」
「父さんと母さんは?」
「今頃戦ってるさ」
「何で……!! 父さんたちは戦っているのに僕たちは逃げないといけないの!?」
「お前には戦える力がないからな」
「それは兄ちゃんだって!」
「いや、俺は剣の訓練は父さんとしているから戦えなくはない」
「……そっか」
僕は自分の無力を憎んだ。だが、急に背後から大量の魔物が現れた。
「やば、逃げるよ!」
「う、うん!」
俺と兄さんは走り始めた。背後からくる魔物たちはヴァルナ様たち任せて、前からくる魔物は兄さんが切り刻んでいた
「すごい……」
俺はそんな兄さんの背中を見て憧れを抱いた。いつかこんな風になりたい、と。
「な!?」
路地を走っていると、行き止まりに当たった
「くっそ!」
振り返ると目の前にはには大量の魔物。背後には壁。万事休すな状況だ。ふと、兄さんがこっちを見ていることに気が付いた
「どうしたの、兄さん」
「……蒼夜。ごめんね。ヴァルナ様お願いします」
「なに、急にどうしたの」
僕は一歩前に踏み出そうとした。だが、進むことができなかった。疑問に思い足を見ると…………凍っていた。
「ねえ、兄さん! これ何!?」
「危険なんだよ。戦闘に巻き込まれたら。」
「やだよ! 父さんたちの次は兄さんが魔物の群れの中に飛び込むの!? だめだよ!」
既に、僕の腰ほどまで凍っている。
「ごめんな。蒼夜………」
兄さんは僕に背を向け、魔物との戦闘を開始した。神四匹の力も合わさって、魔物相手に優勢だ
「兄さん!!」
僕はそんな背中を見ながら、意識を失った。そこには一つの氷像出来上がっていた




