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フロウ・プランツのはじまり

お久しぶりです。美水です。

実に17日ぶりに小説を投稿します。

今度のストーリーは転生物にしてみようかな、と昔から温めていた設定を書いてみます。お付き合いくださると嬉しいです。よろしくお願いします!

 ある日急に過去の世界に戻されたならば。そしてその世界が壊れかけの世界で、もとの世界に戻れるか分からないならば。


 君は絶望に打ちひしがれる? 神に祈ってわずかな可能性を信じる? それとも自分たちの力で新しい未来を切り開く……?


――


「あー、また負けた……。お前相変わらず弱いなあ、ゲーム」


「当たり前じゃん……」


 最新型のゲーム機を手にし、二人の男女は狭い部屋である一本のゲームソフトをプレイしている。それは累計売上数1億本に近い人気ゲームシリーズの最新作。その中でも格別難易度が高いステージを二人はプレイしていた。


 一人は内心喜びながらも平然とした顔で取り繕う。もう一人は頭を抱える。男女はこの物語の主人公「水原コトネ」。もう一人は「神崎ソウスケ」だ。


「コトネ。お前まだこのゲーム持ってんの? 」


 ソウスケは棚の上に飾ってあるゲームソフトを指さし尋ねる


 ソウスケはコトネの幼馴染。二人は六歳のことからの付き合いだ。コトネの自宅近所に引っ越してきたソウスケとコトネは、カードゲームをしたり暗くなるまで外で遊んだり。小学生の頃までは毎日そんな生活をしていた。


 コトネはソウスケのことを兄のように慕っていた。理由はソウスケに一度もゲームで勝てたことなかったから。コトネにとってゲームが強い男子はみな兄のようなものなのだ。しかし頑張って練習し、今ではソウスケより腕前は上だ。


「これってフロウプランツの三作目だろ? たしか2000年発売だったよな。昔俺らよくやったよなー」


「うん、大切なゲームだから。いつも部屋に飾ってんの」


 ソウスケは


「えー、俺はそっこー売ったね。だって古すぎてハードも壊れちまったし……ソフト自体もバグってロードできなくなっちまったじゃん」


 と言った。


 ソウスケは続ける。


「それに今じゃこれ高値で売れんだろ。売ればいいじゃん」


 コトネは黙り込んだ。そして


「売る気ないから。このゲームは私の思い出のゲームだから」


 と言った。


「そうか。ま、俺らが初めて対戦したゲームだし? そりゃ売りたくないよな! 」


 ソウスケはへへっと笑いコトネの方を見た。コトネは目をそらす。


「なによ。私がこのゲームを大切に持ってんのはあんたとやったからじゃないわよ」


 そうだ。コトネの初恋の相手がこのゲームの中にはいるのだ。それは……


「コトネ! ソウスケくん! そろそろ時間よー」

「はーい、お母さん」


 コトネは今久々に勤め先の東京から実家である京都に帰省していた。だから地元を離れず就職したソウスケとこうして自宅で会ってゲームをしているのだ。


「ソウスケ。ご飯できたみたいだよ、下降りよう」


「ああ。というかいいのか? ご飯までごちそうになって」


 ソウスケは尋ねる。


 コトネは


「いいのいいの。お母さんソウスケのこと大好きだから」


 と言って笑った。


 へえ、とソウスケは少し照れて下を向いた。

 階段を降りリビングに入るとコトネの母は二人を待ち構えていた。テーブルの上には様々な種類のごちそうがこれでもか、というくらい並んでいる。


「すげー、いいの? おばちゃん」


「もちろんよ! ソウスケくんのためなら! おばちゃん腕を振るっちゃうわ!」


「まったくいくつだと思ってんだか。ソウスケも私ももうアラサーなんだからね! そんな甘やかすもんじゃないよ? いつまでも小学生じゃないんだから」


 コトネは息を荒げる。コトネの母は


「もう! いいじゃないの! 久しぶりにコトネが帰ってきてソウスケくんと会えたんだから! そんなことでもない限りソウスケくんと会えないのよ!! 」


 と息巻く。


「そんなソウスケと会いたいなら会えばいいじゃん。ソウスケはこっちにいるんだしさ」


 するとソウスケは


「そうですよ。おばちゃん。俺まだこっちなんでいつでも顔に見にきますよー」


 と調子よいことを言った。そのやり取りに辟易するコトネ。


 その晩は結局ソウスケはコトネの家に泊まっていくことになった。


「お風呂あいたよ」


 コトネはソウスケにそう言う。


「ごめんね、先に入らせてもらって」


 するとソウスケは


「いいって。お前の家なんだから当たり前だろ? 」


 と返した。


「お風呂上がってきたら私の部屋きて」


 コトネがそういった。


「来て、ってなんで? 」


 ソウスケが尋ねるとコトネは


「いいからきてよ」


 と言った。


 その時のコトネの顔はやけに艶っぽく見えたため、ソウスケはどぎまぎしてしまった。お風呂場でソウスケは少し考え事をしていた。コトネとソウスケは幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。


 そういえばあいつ、俺に初めて彼女ができたとき泣いて怒ったっけ……。まさか、俺の事好きだったとか?? そんな風なことを考えてやきもきしてしまっていた。

最後まで読んでくださってありがとうございました!今後二人の関係性がどう変化していくかに注目していただけると嬉しいです。よろしくお願いします!

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