異世界の手続き
誰かに読んでほしいから書いてるんじゃ無いけど、誰にも読まれないとちょっと悲しい。
「ほれ、そんな気を落とすな。若造。書けばいいんじゃ書けば。ちょっとぐらい嘘書いてもええ。」
いや、これは嘘どころじゃない。ほぼ全部嘘で書いても大変だぞ。上手く切り抜けないとな。
「こ、これはどう言う意味ですか?」
「ウイチさん属性魔法すら知らないんですか?まあトーグヴェンから来たのなら仕方ないですよね。属性魔法は....」
抜けれないか〜普通に飛ばしても良いですよって言って欲しかった。やっぱり頼れるのは運だけか。でもこんな状況は不運と言っても過言じゃ無いからなー。もう素直に書くか?
「それらを全部引っくるめたと言うのが属性魔法です。それで魔力適正属性と言うのは、自分が一番扱いやすい属性の事です。と言う訳で、魔力適正属性を選んで下さい。分からなかったら無属性を選んで下さい。後々分かることも多いですし」
殆ど聞いてなかったけど取り敢えず無属性に丸を付けておいた。
「他に分からないところはありますか?」
「全部です」
「...トーグヴェン出身と聞いて覚悟してましたが、
まさかここまで知らないとは..」
「仕方ないじゃろう。トーグヴェンをどんな場所だと思ってたんじゃ」
「どうしましょうか...」
「あのー、入団手続きを飛ばす事ってできませんか..?」
「一応特例なら最重要項目だけでいけますが、それで入った人は見たことないですね」
僕はいつ運に見放されたのだろうか。まあ僕が手続きを面倒くさがっているだけなんだが。年貢の納め時か。
「大変だよーーー!!!」
「何だ何だ何だ〜!遂に回って来たヂランの出番か〜?」
「大変です!西大海岸に大型魔魚が現れたんです!!」
「西海岸に〜!?」
「誠に信じられんな。西海岸はちっちゃいパピトしか住んどらんぞ」
「本当に出たんです!!本当に!!」
「フーム、どうやら千年に一度の一大事のようじゃな。よし!皆の者〜!!西海岸にデッカい獲物が現れたぞ〜!!だーれが獲物を狩れるかな!?」
『オレ達東バーデンギラだ!!!』
「さっさと行くぞ!野郎ども!!先を越されるなよ!!!」
『オー!!!』
そう言って西海岸に向かって行った
す、凄い!こんなの劇でしか見たことない!
強そうな人達がゾロゾロと現れて、ジョウさんの掛け声で全員が円陣を組んだように高らかに叫んだ!そして向かうのは西海岸に出現した怪物魚!こんなの興奮しかしない!!
「あ、ウイチさんは残ってその手続きを終わらせてね」
運に裏切られて興奮も冷めた。目の前で出陣して行く屈強な人達は怪物魚と戦うと言うのに、僕はバカ長い全く分からない手続きをする。最早拷問だ。どう考えても異世界に来たのは運の尽きだった。
目の前はとてもキラキラさせて、僕には苦行を強いる。まるで運が嘲笑っているようだ。
ようやく終わった。
どれだけかかったか、体感では1時間はゆうに過ぎている。皆んなは未だ帰って来ていない。地図を見ると片道40分はかかりそうだ。まだしばらくかかりそうだし、取り敢えず休憩しよう。この建物も探索してみるか。
一階には面白そうな部屋は無かった。でも二階にはとっても面白そうな部屋がある。それは装備室。ロッカーがあるんだろう。人のロッカーを開けるのはどうかと思うが、今は誰もいない。異世界の装備がたくさんある筈だ。そろりとドアを開けた。よく考えたら誰もいないので堂々と入った。全部のロッカーが色んなオーラを放っている。これは開けて見るしかない。早速近くのロッカーに手をかけた。開かない。...自分が浅はかだった。自分のロッカーに鍵をかけない人はそうそう居ない。そしてここは異世界なんだから魔法で鍵がかかっているのだろう。諦めてロッカー室を出た。
二階を探索していたら誰かが居た。おかしい。皆んなは西海岸に向かったし、その間に誰か入った訳でも無い。役員かとも考えたけど、鎧を着ているし、受付のヂランさんも戦いに行っていた。おまけにその人は何故か泣いている。うだうだしていたら異世界じゃ生きていけない、そう思い切って話かけてみた。
どうやって章を設定したらいいかな。使う予定一切ないけど。