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おかしな見習い魔女は自立したい ~約束の小さな旅 編~  作者: とうもろこし@灰色のアッシュ書籍版&コミカライズ版配信中


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第20話 謎の集団、イルミナス


「あ、あの人達……!」


 謎の集団とアレス達が戦闘を開始した頃、キャビンの中にいたニーナは怯える表情を露わにしていた。


 彼女は側面から襲撃を掛ける者達を指差すと、リリベルは窓ガラスに顔を近付ける。


「あの人達がニーナを襲おうとしているの?」


「え、ええ……」


 リリベルの言葉を肯定したニーナは体を震わせる。


 その姿を見たリリベルは「むーん」と悩み……。


「よっし! テオ、やっつけに行くよ!」


「うん、分かったよ」


 リリベルは杖を握って外へ飛び出そうとするが、ニーナは震える手でリリベルの腕を掴む。


「リリベル……」


 行かないで。一緒にいて。怖い。


 名前を呟いたニーナの顔からは、そんな感情が窺える。


「大丈夫よ、ニーナ。私が全部やっつけてあげる。すぐに戻って来るからお菓子の準備をしておいて?」


 リリベルは自信たっぷりに言うと、ニーナは「わ、分かりましたわ」と頷いてくれた。


 そして、リリベルとテオは外に飛び出す。


 このタイミングで側面の敵は殲滅され、正面にいたマリオネットも一体撃破される。


「貴様ら、何者だ」


 相手を睨みつけるアレスが剣先を向けて問うと、謎の男もニヤリと笑って言った。


「我々はイルミナス。正しき神に仕える敬虔な信徒である」


「イルミナス……?」


 肩で息を繰り返すカミ爺がその名を呟くと、リーダーらしき男は「そうだ!」と両手を広げて叫ぶ。


「我々は神の声を代弁する者である! 神は仰っているのだ! 世に蔓延る()()()()()()を駆逐せよと!」


「オールドマン? オールドマンってなんだ?」


 聞き慣れない名称に戸惑うアレス。


 そんな彼を見て、男はアレスを指差した。


「お前とその馬車の中にいる女だ」


 敵の目的である『オールドマン』とは、アレスとニーナを指すらしい。


「女を殺そうと追って来たら、まさかもう一匹増えているとはね。これも神のお導きに違いない」


 アレスがニーナの護衛に加わったことは想定外だったようだが、むしろ状況が好転している方向での想定外と考えているようだ。


 要するに、いずれはアレスも彼らの対象になっていたのだろう。


 イルミナス側からすれば「探す手間が省けた」といったところか。


「フフ。二人もオールドマンを殺せば、私の信仰心を教団に強くアピールできるだろう。世のためにも私のためにも大人しく――」


「もう! 犯罪者のくせにうるさい人!」


 おお! 神よ! と天を仰ぐ男だったが、その瞬間を邪魔したのはリリベルだった。


 割り込んだリリベルは杖をイルミナスへ向ける。


「パイロ!」


「ぎゃああああっ!?」


 リリベルが魔法を唱えた瞬間、リーダーの横にいた男が内側から燃えだした。


「な、え、はっ!?」


「ズレちゃった」


 リリベルはリーダーの男を狙ったようだが、発動の瞬間に視線を横へズラしてしまったらしい。


 燃える前の男はモジャモジャの髭を生やしていたが、それに目をとられてしまったか。


 隣に立つカミ爺に「失敗☆」とテヘペロしたリリベルは再び杖をリーダーの男に向ける。


「もう一回」


「ふざけるな!」


 リーダーの男は飛ぶように後ろへ下がり、後方にいたマリオネットを前に出して背に隠れる。


「あーん、隠れないで!」


「ふざけるな! お、お前ぇぇっ!! お前、魔女か!?」


 イルミナス側が急にざわつき始める。


 彼らは一様に「聞いてない!」とか「どうして魔女が!?」などと口にし始めた。


「どうして魔女がいる!? オールドマンの反応は()()()()だっただろう!?」


「え、ええ。ほら、探知機の反応も『二』って出てるじゃないですか!」


 マリオネットの背に隠れたリーダーは別の男に文句を言うが、文句を言われた男も懐から懐中時計のような道具を取り出してリーダーに見せる。


 どうやら彼らはオールドマンと呼ばれる人物を探す道具を所持しており、それを頼りに判別・捜索しているようだ。


 加えて、彼らの口ぶりからは魔女もオールドマンとカウントされるらしい。


 だが、どういうわけかリリベルはその反応が出ないようで。


「アレス!」


「ああ!」


 敵が混乱している今がチャンス。


 そう判断したカミ爺とアレスが同時に動き出す。


「ファイアーボール!」


 カミ爺の放った魔法はマリオネットの背に隠れている生身の人間を狙ったものだった。


 コントロールも抜群。このまま何も邪魔されなければ、壁として並ぶ十体のマリオネット達の隙間をすり抜ける軌道だ。


「なに!?」


 しかし、マリオネットがその軌道上に入り込む。


 マリオネットが手を前に出しただけで、カミ爺の魔法は霧散してしまったのだ。


「リリベル君! アレスの援護を!」


 ならば、次の手。


 魔法使いである自分の魔法は防がれた。


 ならば、魔女の魔法はどうか?


 先ほどリリベルが敵の一人を燃やしたことを踏まえての判断だろう。


「パイロ!」


 リリベルはアレスの行く先にいるマリオネットに向かって魔法を放った。


 狙われたマリオネットは内側から燃え始め、ガラス玉のような物がはまった目から火が噴きだす。


「魔女の魔法は防げんようだな!」


 効果あり。


 内から燃えたマリオネットの体は徐々に溶けていき、地面に崩れて動かなくなる。


「クソッ! これだから魔女は厄介だ! いると分かっていれば対策を用意してきたってのに!」


 悪態をつくリーダーの男だったが、相手側に魔女見習いがいようと退く気はないらしい。


「ええい! 魔女は一人だけだ! マリオネットと魔法で押せば倒せる!」


 リーダーの男が「やれ!」と指示を出すと、残っていたマリオネット達が一斉に動き出した。


 マリオネット達の片手は剣になっており、それを武器に突撃を開始。


「くっ!」


 先頭を走っていたマリオネットは既に距離を詰めていたアレスと衝突して鍔迫り合いに。


「前へ出ろ!」


 一拍遅れて騎士達もカミ爺とリリベルを追い越して前へ出た。


 両陣営の前衛が衝突すると、今度は生身の人間達が行動を起こし始めた。


「魔法で潰せ!」


 イルミナス側にいる生身の人間は全員揃って魔法使いらしい。


 全員がステッキや杖を向け、一斉に魔法を放つ。


 ただ、敵が放った魔法は前衛として戦うアレスや騎士達を狙ったものだけじゃない。


「いかん! 敵は後ろの馬車も狙っておる!」


 こちらに釘付けとなっている間、後方に控える護衛対象を狙う。


 狡猾な手ではあるが、襲撃する側としては当然の戦術だろうか。


「リリベル君は馬車を守ってくれ!」


「分かった!」


 カミ爺は大きく息を吐いてシールドを起動。


 アレス達に向けられた魔法を全て防ぐ。


 同時にリリベルは少しだけ下がり、前衛と馬車の中間で弓を放つレダの横へ移動。


 そこに飛んでくる魔法を防ぐのだが……。


「ジオ!」


 リリベルが選択した魔法は土属性のジオだった。


 地面から土壁を生やすことで相手の魔法を防ぐ。


 しかし、強度はあまり強くない。


 飛んで来た魔法を全て防いだ瞬間、土壁はボロボロと崩壊してしまった。


「シールドじゃないの?」


「シールドってなに?」


 レダの質問に首を傾げるリリベル。


「この子は魔法使いじゃなくて魔女見習いだからね。シールドは魔法使いが開発した魔法だから知らないんだ」


「ああ、そういう……。って、また来た!」


「ジオ!」


 再び飛来した魔法を土壁で防ぐリリベル。


 一回一回の攻撃で崩れてしまうものの、完璧に防げているので問題無し――かと思われたが。


「リリベル、後ろ!」


「え!?」


 テオの声を聞いて振り返ると、なんと馬車の後方には黒いローブを着た男が二人。


 挟み撃ちをするつもりだったのか、それとも後方から馬車を狙い打ちするつもりだったのか。


 どちらかは不明だが、とにかく敵が馬車を狙っているのは事実。


 ……探知魔法を使っていれば事前に対策は出来たかもしれないが、防御魔法に集中するカミ爺にそれを言うのは無茶もいいところ。


 正直、ここはリリベルが対策するべきだった。


 場数の少なさが敵に隙を与えてしまった原因か。


「ニーナ! 馬車から降りて!!」


 リリベルが叫ぶと、馬車からニーナの腕を引っ張るマルカの姿が。


 ただ、慌てて飛び出したせいかマルカは転んでしまう。


「マルカ!」


「お嬢様! お逃げ下さい!」


 マルカはニーナに逃げろと叫ぶが、ニーナは恐怖のせいか足が動かずにその場で固まってしまう。


 このタイミングで敵は既に魔法陣の構築を完成させる。


 あとは発射のみという状況。


「させるかッ!!」


 レダの早撃ち。


 一本、二本と素早く放たれた矢はニーナ達の横をすり抜けて敵に向かう。


「ぎゃっ!?」


 一本は男の頭部に命中。


 そのまま絶命して魔法陣が消失した。


「ぐっ!?」


 しかし、もう一方の男はヘッドショットできず。


 肩に命中したことで体が横へ流れるが、構築した魔法陣は無事。


「死ね、オールドマンッ!!」


 男は片腕を伸ばし、火の魔法をニーナに放つ。


「ニーナ、避けて!!」


「あ……」


 ゴウゴウと燃える火の弾がニーナへ迫る。


 しかし、次の瞬間――ニーナの姿が消えた。


「ひょへ!?」


 変な声を漏らしたリリベルが視線を巡らせると、ニーナの姿は先ほど立っていた場所から三十メートル横にあった。


 そして、同時に地面には黒く焦げた跡が残っているのだ。


 ニーナが移動した距離と全く同じく、その移動の軌跡が黒い焦げ跡として残っている。


「なっ! クソッ! 今度こそッ!」


 リリベルとレダが呆気に取られている間、男は再びニーナへ魔法を放つ。


「あ! ニーナ、また避けて!」


 リリベルが叫んだ瞬間、再び彼女の姿が消えた。


 しかし、次は見えた。


 ニーナの体に紫電が纏い、一瞬で移動する姿が。


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― 新着の感想 ―
ニーナ! 出来る子ニーナ!!
もっとリリベルが無双するものと期待してました…
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