プロローグ3
「あなたは?」
「我は神倭伊波礼毘古命
なんて?
「かむ、?」
「ふむ、今のものには神武と言った方がわかりやすいか?」
「神武って神武天皇の神武ですか?」
「そうだ、我がその神武だ。まぁ今はそんなことは良い。お主は今の自分の状況を理解しておるか?」
「!?そうだ、確か皆んながよくわかんない奴に食われて、それで!」
自分が置かれている状況を頭が理解し始め、体の先の感覚が無くなっていく。体が震え始め目の前がチカチカする。何故あんな奴が、何故皆んなが、何故おれだけ、何故、
「破っっ!!」
突然の怒声に体がびくりとするが、先程までのパニックになっていた思考は無くなっていた。
「落ち着け、慌ててもになっても何も変わらん。お前が今考えるべきことは目の前の霊鬼のことだけだ。」
「霊鬼?」
「お前の目の前にいる鬼のことだ。霊鬼とは恨みを持った人の霊や霊魂が形を変えた存在だ。幸いそこの霊鬼はまだ生まれて間もない。もとの場所に戻ったらお前は何も考えず、刀を前に振れ、それだけで終わる、良いな?詳しい話はその後だ」
「ちょっと待っ、、、」
意味が分からず聞き返そうとした瞬間、また景色が変わり、もとの物置部屋に戻り、目の前には神武天皇の変わりに涎を垂らした霊鬼がいた。
「うわぁ!?」
俺は驚きながら無我夢中で刀を前に振った。
すると、目の前の霊鬼は跡形もなく消え去り、さっきまでいたはずの自分の家も更地になっていた。
俺は目の前の霊鬼がいなくなった安心感か、家がなくなったショックか体の力が一気に抜けて気を失ってしまった。