プロローグ1
混沌の時代のためにーーー
「さい、、、和人様、起きてください」
俺の名前を呼ぶ声がする、重い瞼を開き声の主を探す。
「おはようございます、和人様」
どうやら声の主は俺を起こしに来た我が家の執事、松葉のもののようだ。
「あぁ、おはよう、今日の天気は?」
「今のところは快晴でございますが、夕方から雨が降るとのことです。朝食の準備がもう出来ますので、お召し物を変えましたら来てください」
「わかった、すぐに向かう」
「それでは、また後ほど」
そう言って松葉は部屋を出る。俺も着替えて冷たい水で顔を洗いまだ起ききってない頭を無理矢理起こし、朝食を食べに向かう。
食卓には既に父と母、それから妹の沙羅が居た。
「おはよう」
そう言うと家族皆んなが返してくる、とくに沙羅は朝から眩しいほどの笑顔で返してくれる。
「おはよう!お兄ちゃん、朝ご飯は鯖の塩焼きだよ!」
「マジ?それは良いな」
家族と会話をしながら朝食を食べる。
「そうだ、お兄ちゃん、今日は私のクラス、5時間授業だから先に帰っちゃうね」
「わかった、気をつけて帰れよ、沙羅は落ち着きが無いから危なっかしい」
妹の身を案じる兄がからだったのだが沙羅は不満があるらしく頬を膨らませながら、
「お兄ちゃん心配しすぎ、もう子供じゃないんだから」
と言ってきた。
「大丈夫よ、沙羅。和人は沙羅のことが心配なだけで子供扱いしてるわけでは無いわ」
母さんが全てを見透かしたように言う。
「父さんもそう思うぞ。まぁ父さん的にはまだまだ膝に乗ってきてくれても良いんだけどな!」
「きもい」
「がはっ!」
父さんが気持ち悪い事を言って沙羅に拒絶されるのはいつものことだがそんなダメージを、受けるのなら言わなきゃ良いのに。
「とにかく!気を付けろよ。飯食い終わったんだったら早く準備してこい、置いてっちまうぞ」
「もう!待ってよ、すぐ準備してくる」
俺達は同じ高校に通っていて俺は二年生、沙羅は一年生だ、俺はあまり勉強が得意では無く、授業も子守唄としての役割の方が強い。学校は適当にやり過ごして終わる日々だ。今日はなんの授業があったかなんてことを考えていたら沙羅が制服に着替えて戻ってきた。
「お兄ちゃん、準備出来たよ!早く行こう!」
「わかった、全く、学校に行くのの何が楽しいんだか」
「そらお兄ちゃんと違って成績優秀だし、友達もいっぱいいるもん、お兄ちゃんと違って」
妹よわざわざ二回言わんでよろしい、とりあえず無言でデコピンをしておく。
「いたっ、何すんのよ!」
「うるさい、お前が百悪い」
そう言って歩く速度を少し上げる。
「もう!待ってよ〜」
そんなことをしていると俺たちの通う高校に着いた。
「じゃあまた家で、気を付けろよ」
「はーい」