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植物状態

作者: 椅稲滴

 僕は、畑で最後のごぼうを抜いた。強い力が要ったのに、ごぼうに泥は全くついていなかった。暗いちいさな穴ができた。

 その穴から蟻があふれ出して、僕の周りを埋め尽くした。僕は千切られて運ばれ、畑にはごぼうだけが残った。それから千年後、ごぼうの生えていた場所には僕が生えていた。

 その春にも種が撒かれたが、僕は、間引かれるかたちで土の中から出た。泥を洗い落とされて寝台に横たえられたが、でっぷりと肥えた女の人は「まるで眠ってるみたいだわ」と呟いた。その呟きは、夫婦が死ぬまで続いた。

 僕を見つけた人は、僕を焼いてその灰を畑へ撒いた。再び僕が生えるまでに、二千年かかった。以後、同じことが繰り返され続けている。

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