030 大空へ羽ばたく
呼び出したステータス画面が圭の視覚に映し出される。
■固体名:ブルーレット・オクダ・ケイ
■種族 :魔族目亜人科魔人
■ランク:イエロー <ランクアップ可能>
■PT :8219PT
■TPT:8819PT
■スキル:一覧を見る <取得可能スキルあり>
「なんか一気にポイントが貯まったな。
何をしたらどのくらい貯まるのかわからないけど。
狼倒した時が700ぐらいで、村を救ったのが約8000か。
村ひとつまるまる助けてやっと8000だと、先はまだまだ長いな。
リーゼも待ってるし、サクサクランクアップとスキルの確認するか」
ランクアップさせてまたステータスを見る。
■固体名:ブルーレット・オクダ・ケイ
■種族 :魔族目亜人科魔人
■ランク:グリーン
■PT :8219PT
■TPT:8819PT
■スキル:一覧を見る <取得可能スキルあり>
「よし、ランクが上がった。
怖いのはスキルだよな……」
怖いと思いながらもスキル一覧を呼び出す。
□ スキル一覧 □
ブルーランクスキル
■変身 <スキル説明>
■収納 <スキル説明>
■生成1 <スキル説明>
イエローランクスキル
□採寸 <取得可能 500PT>
□生成2 <取得可能 1000PT>
グリーンランクスキル
□使役1 <取得可能 2000PT>
□生成3 <取得可能 3000PT>
「採寸? なんだこれ、それに生成が2と3に使役?
ポイント的には全部いけるな、取ってしまうか」
そして全ての取得可能スキルを取得した圭。
一覧の内容がそれに合わせて変わる。
ブルーランクスキル
■変身 <スキル説明>
■収納 <スキル説明>
■生成1 <スキル説明>
イエローランクスキル
■採寸 <スキル説明>
■生成2 <スキル説明>
グリーンランクスキル
■使役1 <スキル説明>
■生成3 <スキル説明>
「よし、それじゃまず採寸から見てみるか」
■採寸■
【女性の服のサイズを以下の条件に従い採寸できる】
条件1・対象の女性を見ながら採寸したいと思うと採寸できる。
条件2・衣類を着用状態でもスキルの発動はできる。
条件3・採寸に魔力の消費はない。
条件4・パンツ及び全身服のサイズはS・M・L・2L・3L等でで表示される。
条件5・ブラのサイズはカップ数とアンダー表示になる。
条件6・適用は女性のみで男性には使用できない。
「なんだこれ、要するに見ただけで体型が読み取れるってか。
どうみてもセクハラスキルです、大変にありがとうございました。
ホントにろくでもないな。
だけどこの先コレが必要になるんだろうな。
必要な場面は想像したくないけど」
次の生成2を見てみる。
■生成2■
【女性用ブラジャーを以下の条件に従い生成できる】
条件1・生成に必要な魔力量は小。
条件2・生成されるブラは綿100%とする。
条件3・色は単色のみで好きな色を選べる。
条件4・デザインは3/4カップ・チューブトップ・スポーツから選べる。
条件5・ワイヤー・ノンワイヤーから選べる。
条件5・サイズはカップ数とアンダーを指定できる。
条件6・チューブトップ・スポーツのサイズはS・M・L・2L・3Lから選べる。
「オウフwwwwwブラwwwwww。
そんな気がしてたけど、パンツときたらブラだよな。
てかコレ、リーゼに着けてもらわなきゃならないよな。
多分だけど絶対必要になる。
けどリーゼは着ける意味あるのか?
着けてもらうとか修羅場しか見えないよお父さんは」
温泉で見たぺったんこの胸を思い出す。
リーゼにはまだブラは早いんじゃないかと思う圭。
「これはもう試練だろ、まあ、いいや。次いこう次」
■使役1■
【女性用パンツを以下の条件に従い使役できる】
条件1・使役に必要な魔力量は小。
条件2・着用・未着用関係なく使役できる。
条件3・使役したパンツは飛行させることができる。
条件4・パンツの種類により飛行能力は異なる。
条件5・使役したパンツの周囲情報を脳内に投影できる。
条件6・使役したパンツに攻撃能力なない。
条件7・使役量に制限はない。
条件8・より美しく舞うよう心がけよ。
「これ考えたやつ頭おかしいだろ。
なんだよパンツが空飛ぶって! アホなの? バカなの?
もうやだこの世界……。
しかも条件8って何?
美しくって何? 意味わかんねーよ!
おいシエル! 見てるんだろ! でてこいやコラ!」
出てこないと分かってはいても、叫ばずにはいられない圭だった。
そして次のスキルを見る。
■生成3■
【女性用全身服を以下の条件に従い生成できる】
条件1・生成に必要な魔力量は中。
条件2・生成される服のサイズはS・M・L・2L・3Lから選べる。
条件3・靴も同時にデザインに合わせたものが生成される。
条件4・触れている女性に直接着せることも可能。
条件5・条件4の場合着用していた衣類は自動的に収納される(女性用衣類のみ)
条件6・色固定の服以外は色を選べる。
条件7・デザインは以下から選べる、セーラー服(夏・冬)・体操着・ナース・チアガール・スチュワーデス・OL・巫女・ミニスカメイド・ベビードール・パジャマ(夏・冬)。
「おー、服が作れるのか、これは便利だな。
ふむふむ……しかも着替える手間が省けるみたいだな。
これは使えるスキルだ、って条件7!
なんだこの意味不明な縛りは!
ふざけんな! こんなの誰が着るんだよ!
これ選んだのスケベオヤジだろっ!
俺の喜びを返せ!!」
スキル欄を閉じると、元のステータス画面へと戻る。
■固体名:ブルーレット・オクダ・ケイ
■種族 :魔族目亜人科魔人
■ランク:グリーン
■PT :1719PT
■TPT:8819PT
■スキル:一覧を見る
「ふう、とりあえず確認は終わった。
ポイントがごっそり減ったな。
そして俺の精神もごっそり減ったな。
もうなんかこのスキルから逃げたいんだけど。
死ねない呪いって、これに対してなのかな、なんかそんな気がしてくるよ。
セクハラ採寸に、パンツを飛ばす、ブラにイロモノ系の服生成。
想像の斜め上すぎて付いていけない。
やっぱりもうやだこの世界!」
嘆いたところで始まらない。
そう思った圭は無理やり自分を納得させリーゼの待つ家に帰った。
「ただいまリーゼ」
「おかえりブルーレット、何してたの?」
出迎えた寝巻き姿のリーゼに、膝立に体を下げた形で圭がその胸元に抱きつく。
リーゼの背中に腕を回し、ポツリと漏らす。
「シエルが俺をいじめる。もうやだ。おうち帰りたい」
「何言ってるの? おうちはココだよ?
よしよし、何かあったの? 話してごらん」
抱きついてきた圭の頭をなでるリーゼ。
世界最強種族の魔族に甘えられるという貴重な体験に、ニヤニヤが止まらない。
母性がくすぐられるってのはこのことなのか。
ヤバイ、この魔族カワイイ!
そんなリーゼに圭が取得したスキルを説明する。
「うんとね、今ね、スキル覚えた」
「え? スキル覚えたの? すごいじゃん!」
「覚えたスキルが酷すぎる件」
「なにが酷いの?」
「パンツを飛ばせる、パンツが空を美しく飛ぶ」
「なにそれ、変態すぎて意味わかんない」
「俺も意味わかんない。助けてリーゼ。
そしてね、女を見ただけで下着と服のサイズがわかるようになった。
しかも服の上からわかる」
「なにそのキモイ魔法、ドン引きなんですけど」
「大丈夫、俺もドン引きしてるから。
そしてパンツに続きブラが作れるようになった」
「ブラ? なにそれ」
「これ」
圭は適当にブラを出した、リーゼに合わせてAA65ノンワイヤーブラ。
色はピンク。
採寸は今した。
「なにこれ?」
「胸に着ける下着」
「胸? こんなの見たことないけど、どうやって使うの?」
圭は葛藤する。
着けるとなったら、上だけ裸になる必要がある。
勿論リーゼには必要ないと思うんだが、そんなの口が裂けても言えない。
それにこの先おそらくこのブラを広める必要がある。
ならばリーゼの力を借りないと広められない。
当然使い方をリーゼに教えておかないと話にならない。
なんだこの苦行は、これが罪に対する罰なら酷すぎる。
「使い方教えるから、上だけ裸になって」
「うん、わかった」
圭の中身が人間だと知ったはずなのに、恥ずかしがらないリーゼ。
上を脱ぎ、裸になる。
寝巻きの下には肌着キャミ1枚で、当然ブラなんて着けてなかった。
「ん? どうしたのブルーレット」
顔を逸らしリーゼを直視できない圭。
何度か見ているが、やはり童貞にはハードルが高すぎる。
「いや、その、やっぱり女の子の裸見るのは恥ずかしいというか。
リーゼは恥ずかしくないの?」
「全然、だってブルーレットだよ、他の人には見られたくないけど。
ブルーレットに見られるのは嬉しいし。触ってもいいよ?」
あれか、お父さんになら見られても恥ずかしくないってやつか。
うんうん、そうだよな、家族なら恥ずかしがるほうがおかしいよな(圭の勘違い)。
「えっとね、このブラは、こうやって後ろのホックを外して。
肩に通して、そうそう、そんな感じ、それで後ろで留める。
なんか肩の紐がゆるゆるだな」
「んー、あ! ここで調整できるみたい」
「お、なるほど、肩紐ってこうなってるのか。
俺もブラを見るのは初めてだからさ、わかんなかった」
肩紐の調整に気付いたリーゼが、自分に合わせて長さを調整する。
「こんな感じかな、どう? 変じゃない?」
「うん、てか着けてるとこ見る自体俺も初めてだからな。
多分これで大丈夫……だと思う」
「そうなの? お互い初めてなんだね、えへへへ//////」
何を照れてるんだろうかリーゼは。
「ブルーレットのいた国は、女の人はこのブラ使うのが普通なの?」
「ああ、そうだね、みんな使ってた。
そういえばこの国の人はどうなの?
胸の大きい人とかどうしてる?」
「うんとね、布巻いてるよ、みんなは胸巻きてって呼んでる。
大きすぎる人は首から引っ張るように布巻いてたりするけど」
「なるほど、サラシとホルターネックだな。
よし、リーゼ。
このブラを世界に広めるぞ」
「パンツみたいに?」
「そうだ、このブラの凄いところは。
サラシみたいに布をいちいち巻かなくてもいい。
肩紐があるから垂れる心配もない。
俺のいた国では、胸の形を美しく保つようにって、みんなこのブラを使ってるんだ。
そして脱着も楽だ。
今着けてるのが一般的なブラだ。
もう2種類あってコレがチューブトップに、こいつがスポブラだ」
圭の手から出したのはMサイズのチューブトップとスポブラ。
「こいつはホックがないかわりに服を着るみたいに頭から通して使う。
チューブトップが肩紐がない、でスポブラは肩紐付き。
着けてみる?」
「うん、それじゃこのチューブトップから」
ブラを着け変えたリーゼが不満をこぼす。
「これ、たぶんずり落ちてくるね、私、胸がないから」
「あー、そうだね、まあこういうのもあるってことだ。
コッチのスポブラなら多分大丈夫だと思う」
「着けてみる」
チューブトップを外し、スポブラを着けるリーゼ。
「お、これが一番いいかも!
ブルーレット、これもっとちょうだい。
ブルーレットはパステル系が好きなんだよね? 何種類かちょうだい」
「やっぱりだけど、パンツの色って俺の好みに合わせてたの?」
「そうだよ、でも色がカワイイから私も好きになった、えへへへ」
「そうかそれじゃスポブラ作っておくか」
パステルカラーで何種類かランダムに生成する。
そして20枚、リーゼに渡した。
「ありがと、これもやっぱり毎日着替えて渡すの?」
「そういえばそうだな、今のとこブラを使うスキルがないけど。
そのうち必要になるだろうな、毎日パンツと一緒に渡してくれ」
「わかった、それでさ、さっき言ってたパンツが空飛ぶっての。
微妙に気になるんだけどさ」
「俺も気になってた、ちょっとやってみるか」
手のひらに白のパンツを出し、使役のスキルを使う圭。
鳥のようにパンツが羽ばたき宙に浮かぶ。
圭の思い描くように部屋の中を飛び回るパンツ。
「あはははははははは! なにコレ! キモイよ!」
「うわー、鳥みたいだけど、すんげーシュール。
これ、お外で使いたくないんだけど俺。
もうさ、パンツが空飛ぶとか、ありえねーよ!」
「ひっ、もうムリ! やめてお腹痛い! ダメっあははははは」
「リーゼ、笑いすぎだよ、こんなスキル覚えた俺の身にもなってくれよ」
「だって、パンツが空飛んでるんだよ! 面白すぎて意味わかんない!」
「クソっ、その腹筋崩壊させてやる」
新たに黒、赤、青、紫、黄色、グレー、紺。
色違いのパンツを出し使役する。
「だはははははは! 死ぬ! 笑い死ぬっ!もうだめひひひひひひひっ!」
その場にリーゼが崩れ落ちる。
「勝った、この勝負俺の勝ちだな。
虚しい戦いだったけど」
しゃがんでうずくまりピクピクしてるリーゼを起こし、ベッドへと寝かせる。
もうひとつのスキル、服生成は今日はやめておこう。
説明するのは旅の間にいつでもできる。
そう思った圭はスポブラのままのリーゼに寝巻きを着せ、パンツのストックを500枚程生成した。
「りーぜ、寝るぞ」
「うん、腕枕ね」
「はいはい」
ひとつのベッドに2人で横になり、くっついて寝る圭とリーゼ。
村での最後の夜。
皆との別れの晩餐もあり、高揚した気持ちもあったが。
いつのまにか眠りについた2人だった。
大量のパンツが空へ羽ばたく。
みてみたいですね。
作品の続きが気になる、もう少し読みたいかも。
という方はぜひとも評価とブクマをお願いします。




