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星空の小夜曲~恋と未来と、少女の決意~  作者: 由希
第2章 中央大陸編
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第151話 官邸へ向かえ

 地下水路を出て、三人で官邸に向かう。兄様の言葉通り、官邸の回りは住民や衛兵、様々な人でごった返していた。


「確かにマトモに突破するのは、ちいと無理そうだな……」

「私が可能な限り、彼らを引き付けます。伯父上達はその隙に官邸へ」

「ちょっと待て、レオノ」


 出て行こうとする兄様を、サークが腕をつかんで引き留める。そして風の上位精霊を呼び出すと、兄様の側につけた。


「気休め程度にしかならないが、こいつにお前を守らせる。近付く奴らを弾いてくれるはずだ」

「ありがとうございます、伯父上。つつしんでお借りします」


 兄様が小さく笑い、深く礼をする。同じ血を分けた兄妹なのに、私と違って兄様は生真面目だなと思う。


「それでは、行って参ります。伯父上、クーナを頼みます」


 そう言って、兄様は物陰から飛び出していった。そして群れを為す、操られた人々と接触する。

 それからまもなく、人々は一斉に兄様を追いかけ始めた。


「……っ」


 今すぐ飛び出して兄様を助けに行きたいのを、懸命にこらえる。兄様は、私達の為にって囮になってくれた。それをムダにしちゃダメ……!

 その時そっと、肩に手が置かれた。サークだ。サークがいたわるように、肩を抱いてくれている。

 無言でサークを見返す。官邸の様子を見続けているサークの眉間には、小さなシワが寄っていた。

 ……サークだって耐えている。それなのに、私の心配までしてくれている。

 そうよ、いい加減覚悟を決めなさい、クーナ。いつまでもウジウジしてたら、それこそ兄様に失礼じゃない!


「……ありがとう。もう大丈夫」


 小さく笑みを浮かべて、サークにそう伝える。サークはチラッと私を見ると、軽くうなずいて言った。


「そうか。……そろそろ頃合いだな。行くぞ」

「うん!」


 そうして私達は、手薄になった官邸目指して駆け出した。

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